新興企業のLS9は、微生物の力を借りてガソリンの代用品を製造する計画を以前に発表しているが、その製法について情報の一部を公開する予定だ。
LS9の研究開発部門担当バイスプレジデントStephen del Cardayre氏は7月30日(米国時間)、コロラド州デンバーで開催中の産業微生物学会の年次会議で、代用ガソリンの製法に関する論文を発表することになっている。
産業微生物学とは、端的に言うなら、自然発生や遺伝子改良による有機体の特性を産業に活用することを研究する学問分野で、CNET.comが好んで取り上げているテーマでもある。つまり、微生物を小さな化学工場として利用しようという考え方だ。たとえば、ある種の酵母に糖を与えるとアルコールができる。ただし、人間の従業員と違い、酵母には賃金を払う必要がない。科学者らは過去数年で、微生物を使って半導体用の絶縁体を作る方法や、木材を燃料に変える方法の研究を始めている。また、微生物なしで微生物の活動を再現する、合成生物学という分野に注目する研究者もいる。
比較的新しい研究分野だが、Cambrios Technologies(生物学に着想を得た半導体素材)やMascoma(細菌を利用したエタノールの製造)など一部の企業は、商用化の実現が近いことを示唆してきた。
LS9は、投資会社Khosla Venturesによって編成されつつある、産業微生物学を応用した企業グループに属していて、Khosla Venturesはそのうち数社に投資している(LS9はベンチャー資金として500万ドルを獲得した)。このグループは、カリフォルニア大学、スタンフォード大学、およびカリフォルニア工科大学から生まれた企業がかなりの数を占め、LS9の取り組みの一部も、スタンフォード大学で植物生物学教授を務めるChris Somerville氏の研究成果を基にしている。Somerville氏はまた、ローレンスバークレー国立研究所のバイオ燃料研究にも参加する予定で、この研究からも新興企業が誕生するとみられている。
産業微生物学会の年次会議ではほかに、生物学を応用してジェット燃料の生産を目指すAmyris Biotechnologies(カリフォルニア大学バークレー校から誕生)のプレゼンテーションや、カリフォルニア大学サンタクルーズ校による海生菌類由来の物質に関する論文の発表も予定されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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