オールアバウトとKI&Companyは7月25日、資本業務提携すると発表した。KI&Companyが実施する第三者割当増資をオールアバウトが引き受ける。業務面では、両社のメディアを連携し、広告営業などにおいても協業する。
資本業務提携は、7月25日のオールアバウトの取締役会で決議の上、両社が基本合意した。8月下旬にKI&Companyが第三者割当増資を実施する。具体的な株式数及び発行済株式数に占める割合は協議により今後決定するとしながらも、オールアバウト代表取締役社長の江幡哲也氏は「子会社化を前提にしているので、それなりの割合になると思う」と語った。同社ではKI&Companyに対して役員派遣等も行う。
オールアバウトは2001年から総合情報サイト「All About」を運営。さらに2002年からは団塊ジュニア層や主婦層など、特定の年齢層の男女をターゲットにしたウェブマガジンを展開している。特に2007年4月には金融情報誌「あるじゃん」の買収、同6月にはエイ(木へんに世)出版社とのコンテンツ提携など、他社との提携にも積極的だ。
今回の事業提携では、「レオン」など未曾有のヒット作を出した岸田一郎氏の率いる雑誌「zino」、それに連動するウェブサイト「@zino」とコンテンツ面で連動し、富裕層向けのコンテンツを拡充する。
一方で@zinoではAll Aboutの運営ノウハウを活かし、サイトを刷新していく。両社は広告販売でも協業し、また共同商品の開発も行っていく。
江幡氏は「岸田氏のコンテンツ作りのノウハウやブランド力は魅力的。ネットの媒体では良いコンテンツだけでは人は集まらず、ネットの性質に合った構造が必要だ。(コンテンツとネットの構造を組み合わせて)メディアとしての提携することでシンプルに良い結果を生み出せると思う。今後1カ月で具体的な戦略を立てて推進したい」と述べた。
一方で岸田一郎氏は「贅沢にもクロスメディアとして立ち上げたが、ウェブでの広告収入が思うように得られないなど経営的には大変だった。提携でさらなる経営基盤を強化したい」と話している。
また「ウェブは雑誌と違って、ECまで視野に入れるとできることが無限にある。(ウェブに経験のない)自分たちだけでそれを実現するのは難しい。オールアバウトはコンテンツを発信するメディアとして出版社の考え方に近く、自分達の良い理解者だと思っている。先輩に力添えをいただきたい。」と明るい口調で語った。
KI&Companyは経営困難のために人員が削減されるなどの噂もあった。これについて広報では「結果的に計15人が自主退職をするのは事実。ただし、今回の買収の件とは関係ない。苦渋の決断だった。今回の提携を再スタートとしたい」としている。
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