UPDATE SAPは、Oracle独自の修正やサポートに関するドキュメントの「不適切なダウンロード」に同社子会社のTomorrowNowが関与したことを裁判所への提出書類のなかで認めた。
エンタープライズソフトウェアアプリケーション最大手のSAPは米国時間7月2日、米司法省が同社とTomorrowNowに対して書類の提出を求めたことも提出書類のなかで指摘した。
同社は、ライバルのOracleが3月に提起した訴訟を受けて今回の書類を提出した。Oracleはこの訴訟で、サードパーティーサポート会社のTomorrowNowが、同社のOracleアプリケーション利用顧客のためとして得られる以上の情報を1万回以上不法にダウンロードしたと主張している。Oracleによると、TomorrowNowは、同社の特定の顧客が使用するソフトウェアとは関連のない素材をダウンロードしたり、Oracleのサポート素材を自社のものとして提供したりしたこともあったという。
SAPは謝罪文を出し、問題解決に向けた措置を講じたことを明らかにした。
SAPの最高経営責任者(CEO)、Henning Kagermann氏は声明を出し、「私の観点からすると、不適切なダウンロードはたとえ一度でも容認できない。このようなことが発生したことはたいへん遺憾に思う。事態の把握後、TomorrowNowの顧客に対する優れたサービスを今後も確実に維持しながら同社の業務管理を強化する処置を速やかに講じた」と述べた。
SAPは、TomorrowNowの業務および法規遵守プログラムの責任者として、SAP Americaの最高業務執行責任者(COO)、Mark White氏を同社のエグゼクティブチェアマンに任命した。TomorrowNowのCEO、Andrew Nelson氏はWhite氏の指揮下に入る。
Kagermann氏は3日午前、アナリストと報道陣向けに開いた電話会議で、「Andrewがこれらの不適切なダウンロードを認識していた証拠は1つもない」と語った。ただし、内部調査は継続されている。
Kagermann氏は、「最大限の努力をするよう伝えてある。(今回の状況の)すべてを明らかにすることが重要だ」と語っている。SAPによると、TomorrowNowは既存のものに加えて新しいポリシーも適用し、社員向けのトレーニングも一新するという。
SAPはまた、TomorrowNowが独立運営で情報を共有していないことから、SAPやSAP Americaが同子会社経由でOracleの知的財産を入手することはなかった、とも述べた。
JMP SecuritiesのアナリストPat Walravens氏はリサーチメモのなかで、「この行為は子会社内だけのものであり、SAPに同等の過失はないはずだ、との主張を陪審員が尊重するとは思えない。また、SAPはこの窃盗行為は企業ぐるみではないとの主張だが、陪審員はこちらについても、TomorrowNowの行為は企業ぐるみに近い、と考えるのではないか」と述べている。
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