Sun Microsystemsの最高経営責任者(CEO)であるJonathan Schwartz氏が、自社の取り組みに対する不信感を払拭しようと、Linux開発のリーダーLinus Torvalds氏を夕食に招待した。その数日前、Torvalds氏はLinuxとSolarisについて、オープンソースプロジェクトとして協力していくこともあり得ることを示唆していた。
Schwartz氏は米国時間6月13日付けのブログに、「協力して、コミュニティーで手を結びたい。何も隠すつもりはないし、無意味な特許の話も持ち出さない。誠意を示すために、自宅での夕食に招待したい。私が料理をするので、あなたはワインを持ってきて欲しい」と書いている。
LinuxにはGNU General Public License(GPL)のVersion 2が適用されている。Torvalds氏は今のところ、GPLv3よりもこちらの方が優れていると考える。一方、Sunは「OpenSolaris」(Solarisのオープンソース版)に現在、Community Development and Distribution Licenseを適用しているが、Schwartz氏は、GPLv3について、Sunが抱える複数のオープンソースプロジェクトを「1つのライセンスで管理」できるようになると、好意的に受け入れている。なおGPLv3の正式版は、Free Software Foundation(FSF)によって6月末までに発表される予定。
Schwartz氏は、「FSFのGPLv3が向かっている方向性に満足している。さまざまな理由から、OpenSolarisにGPLv2を適用するのは難しい。ただし、不可能であるとか、問題外というわけではない」と述べている。
Torvalds氏も歩み寄る姿勢を見せている。同氏はLinuxカーネルのメーリングリストに投稿したコメントで「GPLv3が(GPLv)2ほど優れたライセンスだとは思わないが、一方で、私は実用主義者だ。仮に2つのカーネルを2つの異なるライセンスの下で所有し、それにより生じる摩擦を回避できるのであれば、それだけでもGPLv3を採用する理由になると考える」と述べている。
Torvalds氏はSolarisのある技術に関心を示している。それは、複数のドライブにまたがってデータの整合性を保つ機能を備える、ファイルシステムのZFS(Zettabyte File System)だ。もっとも、同氏は「ひねくれた」予想だとしながらも、SunはLinuxがZFSを対等な立場で利用できるようにはしないだろうと述べている。
Schwartz氏は、その可能性を否定することに心を砕き、Sunは「特許を完全に保護しつつ、Linuxをはじめとするあらゆる場所でZFSが採用されるようになればと考えている」とした。
同氏はさらに、「互いに刀をさやに収めよう。あなたはわれわれの敵ではないし、われわれもあなたの敵ではない」と述べている。
Linuxは、ZFSや動的なプローブトレースフレームワークである「DTrace」、ネットワーク仮想化の「Crossbow」など、各種Solarisソフトウェアによるメリットを享受できるし、Solarisも、ハードウェアサポートの拡大を可能にするLinuxのドライバソフトウェアのメリットを享受できる。
Schwartz氏は、「敵対するのではなく、慎重に行動してきたというのが現状だ。同じものを開発して時間を無駄にすることはやめよう。われわれに必要なのは前進することだ」と述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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