UPDATE 米国際貿易委員会(ITC)は米国時間6月7日、Broadcomの特許を侵害していることが明らかになったQualcommの3Gチップセットを使用する一部の電話機について、輸入を禁止する命令を出した。
もっともこの輸入禁止令には多少の妥協案が盛り込まれており、同特許を侵害している技術を使った過去の電話機には基本的に適用されない。ITCは、禁止令が発布された2007年6月7日もしくはそれ以前に一般販売を目的として輸入された携帯電話モデルは、適用の対象外とすると述べている。特許を侵害しているQualcommのチップおよびチップセットが実装された携帯無線通信デバイスの新モデルが、輸入禁止の対象となるという。
ITCは命令書で、「本委員会は、すでに輸入された一部モデルを除いたダウンストリーム製品の輸入を禁止することで、サードパーティーに課される負担を大幅に減らし、一方の特許所有者には十分な救済を与えることができると考えている」と述べる。
ITCの行政審判官は2006年、携帯電話がネットワーク信号を受信できないときに電池残量を節約する技術に関するBroadcomの特許を、Qualcommが侵害していたと判断した。Qualcommは同技術を、Evolution Data Optimized(EV-DO)技術およびWideband Code Division Multiple Access(WCDMA)技術を用いる高速無線ネットワーク(3Gネットワーク)用に開発したチップセットに実装している。
この禁止令は、EV-DOを利用したネットワークを運用しているVerizon WirelessおよびSprint Nextelや、WCDMAネットワークを構築しているAT&Tなどに深刻な影響をおよぼす可能性がある。Qualcommは、EV-DOチップセットを製造している唯一のベンダーであり、AT&Tネットワーク上で稼働しているデバイス用のWCDMAチップセットの大手供給会社でもある。
これらの通信事業者は過去数年間にわたり、膨大な費用を費やして3Gネットワークを構築してきたため、同ネットワーク上で動作するデバイスの販売が滞れば、多額の損害が出る恐れがある。また、EV-DOおよびWCDMAネットワーク向けの電話を製造しているMotorolaやサムスン電子などの携帯端末メーカーも、禁止令による影響を被る可能性がある。
多くのユーザーが待ち望んでいるAppleの「iPhone」もAT&Tネットワーク専用のデバイスとして販売される予定だが、こちらはWCDMAを使用していないので支障はないだろう。同製品は、より低速なAT&Tの2.5Gネットワーク技術を採用している。
QualcommとBroadcomは、特許侵害をめぐって数年前から法廷闘争を繰り広げてきた。だが先週になって、カリフォルニア州サンタアナの連邦判事が、QualcommはBroadcomの3件の特許を侵害していると判断し、賠償金1964万ドルの支払いを命じた。またBroadcomは、Qualcommが問題の技術を一切使用できなくなるよう、終局差し止め命令を裁判所に求めている。これに対し、QualcommもBroadcomを特許侵害で訴えている。
Broadcomは声明で、「われわれはITCの裁定を大いに歓迎しており、委員会が米国製品を不公正な貿易取引から守るという規定の条文や精神に忠実に従ったことを、喜ばしく思っている。Qualcommが、Broadcomの特許技術の価値を再三に渡り認めてこなかったため、われわれはITCおよび裁判所に補償を求めざるを得なかった」と述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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