GoogleがMicrosoftとの対立関係を加速させた。しかし、Googleの幹部らは、ウェブベースのコンピューティングが進む業界において、どの企業が優位に立つかをめぐる争いの存在を依然として否定している。
検索大手のGoogleは、広告企業へと進化し、さらに今やアプリケーションのプロバイダーでもある。そのGoogleが米国時間5月30日、世界10都市で開催されている同社主催の初の開発者向けカンファレンスGoogle Developer Dayの中で、Google Gearsと呼ばれるソフトウェアを発表した。Gearsはブラウザ用のエクステンションで、同ソフトウェアを利用することにより、ユーザーはオンライン時でもウェブアプリケーションの利用が可能になる。Gearsはすべての主要なブラウザやオペレーティングシステム(OS)に対応している。また、開発者らは同ソフトウェアを使って、Google用のプログラムに限らず、オフラインで利用可能なあらゆるアプリの開発が可能だ。
Googleは開発者コミュニティの関心を大きく引き寄せているだけでなく、Gearsをプロプライエタリソフトウェアではなく、オープンソースとしてリリースすることにより、多種多様な組織や団体を喜ばせている。Microsoftは、Windows OSをはじめとする同社製ソフトウェアに開発者たちを縛り付けているとして非難されてきた。またMicrosoftは、ウェブベースのアプリケーションが同社のデスクトップビジネスに与える脅威に対する最善の対応策を必死に模索してきた。
またGoogle Gearsは、消費者や企業のために、これまでウェブベースアプリがデスクトップアプリに対抗する上での障害と考えられていた問題を打破している。Officeスイートなど、Microsoft製アプリのユーザーは、いつでも自分のコンピュータ上でソフトウェアの使用やデータへのアクセスが可能だが、GmailといったGoogleのウェブベースアプリのユーザーは、利用する際にインターネットに接続する必要がある。しかし、Gearsの登場によりその問題は解消される。
Googleの共同創設者Sergey Brin氏は、Google Developer Dayで記者団に対し、「(Googleが)いつもMicrosoftを意識しているわけではない」と述べ、さらに「われわれは(Gearsを開発する)必要があった(中略)Gearsは(ウェブベースのアプリが)オフライン状態では使えないという問題を解消する」と付け加えた。
しかし、Googleのエンジニアリング担当バイスプレジデントJeff Huber氏は、オフライン時に利用できない点が、Google Appsの導入を妨げてきたとする見方を一蹴した。Google Appsには、カレンダー、メール、チャット、ワープロ、表計算など、各種ウェブベースソフトウェアが揃っている。「Google Appsに対する世間の関心は極めて高く、すでに膨大な数のGoogle Appsが利用されている」とHuber氏は語る。また同氏はオフラインコンピューティング機能について、ユーザーから追加要求があった機能の1つにすぎないと付け加えた。
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