CBSは音楽を専門とするソーシャルネットワーキングサイトLast.fmを買収したが、そのサイトで何をする計画なのかはまだ明らかではない。
CBSは米国時間5月30日、2億8000万ドルの買収により、人気の高いソーシャルメディア技術であるScrobblingエンジンを獲得した。同エンジンは、サイト会員がどの楽曲を再生しているかを解析するためにLast.fmが開発したものである。Last.fmは、Scrobblingの結果に基づいて、会員のプレイリストにレコメンデーションを提供したり、パーソナライズされたラジオステーションを作成したり、好みが類似する他の会員を紹介したりしている。
従来型のメディア企業が自社のデジタル部門を活性化させるために技術を買収するということが際限なく繰り返されているが、今回の買収もその流れを汲むものである。例えば、2005年にMySpace.comを買収したNews Corp.は30日、同社のFox Interactive Media部門が画像共有サイトPhotobucketとスライドショー制作のFlektorを買収することで合意に達したと発表した。
Jupiter ResearchのアナリストであるDavid Card氏はCBSの買収について、「積極的な動きである。Last.fmは非常にすばらしいサービスを提供している」と述べた。「ユーザーは皆それぞれ少しずつ異なるが、同サイトは楽曲の発見によりコミュニティーをうまくまとめている」(Card氏)
最近ウェブビデオブログであるWallstripも買収し、複数のビデオシンジケーションに関する提携を締結しているCBSの声明によると、Last.fmの創設者であるFelix Miller氏、Martin Stiksel氏、およびRichard Jones氏が引き続き同サイトをCBSとは独立して運営するという。
しかし、CBSがロンドンを拠点とするLast.fmで何をしようとしているのかに関しては、業界の専門家らの意見は分かれる。2002年に創設された同サービスは非常に人気が高く、世界中に1500万人以上ものアクティブユーザーがいる。今回の買収によりCBSは、技術や音楽に詳しい若年視聴者層へのアクセスを得ることになり、これは確かに貴重な資産である。しかしForrester ResearchのアナリストであるJames McQuivey氏によると、その相当な買収額からCBSは、Scrobbling技術にも関心があるのではないかという。
McQuivey氏は、「Last.fmに支払われた金額は、会員数が2倍以上であったPhotobucketをMySpaceが買収したときの金額に相当する」と指摘する。「CBSは視聴者数を早く増加させるという以外にも何らかの目的があって、それだけの金額を支払っている。CBSは複数のウェブサイトに適用可能な有用な技術を買収しているつもりなのだとわたしは思う」(McQuivey氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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