「苦しい時こそ夢を持たなアカン!」――。不況に苦しむ中、職人集団が立ち上がって、中小企業の技術力を結集して人工衛星を打ち上げようと2002年に設立されたのが、東大阪宇宙開発協同組合(Space Oriented Higashiosaka Leading Association:SOHLA)だ。
SOHLAは、工場集積率No.1という大阪府東大阪市に拠点を置く中小企業を中心に結成された製造業の協同組合。2002年から小型人工衛星の開発を進めており、2003年からは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として、開発プロジェクトを進めている。
同組合が開発する人工衛星は打ち上げに成功すれば、「まいど1号」と命名されることが決まっている。東大阪宇宙開発協同組合やSOHLAという名前は覚えていなくても、まいど1号という名前を記憶している人は多いだろう。そのまいど1号が、ついに宇宙への切符を手にした。
2008年8月にH-IIAロケットで打ち上げ予定の温室効果ガス観測技術衛星「GOSAT」に相乗りする小型衛星として、まいど1号が宇宙航空研究開発機構(JAXA)に5月16日に選定されたのである。
JAXAでは2006年5月、国内の宇宙開発利用の裾野を広げることなどを目的として、H-IIAロケットによる打ち上げ機会提供を希望する小型衛星の公募を実施。民間企業や大学等から応募があった21件のうち、書類選考をパスした19件を「小型衛星搭載候補リスト」に登録した。
今回、リストに登録された13件の小型衛星を対象に、小型衛星選定委員会を開催し、50cm級2基、10〜30cm級4基の計6基の小型衛星を選定した。
選定されたのは、50cm級の2基として、SOHLAの「SOHLA-1」(打ち上げが成功すれば、まいど1号)と、東北大学の「スプライト観測衛星(SPRITE-SAT)」。そして、10〜30cm級では、ソランの「かがやき」、東京大学の「PRISM」、香川大学の「STARS」、都立産業技術高等専門学校の「航空高専衛星KKS-1」が選ばれた。
JAXAは今後、今回選定された小型衛星を開発した各機関と「打上げ実施のための取決め」を締結し、さらに詳細な技術調整および各種試験等を実施するとしている。最終的な搭載の可否に関しては、JAXAが最終的な責任を負い、打ち上げ前に判断するという。
なおJAXAでは、今回提供される打ち上げ機会に選定されなかった小型衛星について、提案者に意思を確認の上、引き続きリストに登録する。また、新規の小型衛星にかかわる提案も随時受け付けるとしている。
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