ウェブに特化するMySQLだが、既存の主要データベースにとっても徐々に大きな脅威となりつつある。競争入札でも、OracleやMicrosoftと競合するのはMySQLが最も多いと、Mickos氏は語っている。しかし、同社はOracleの主力ビジネスで直接対決することは考えておらず、さまざまな手段を用いて成長市場においてこのライバルをかわそうとしている。
Mickos氏は、「Oracleの顧客を根こそぎ奪うことは考えていない。おこぼれにあずかろうとしているだけだ。同社と競争を繰り広げて顧客を奪いたい気持ちはある。だがそれと同時に、だれもが『がんばれMySQL。Oracleをやっつけろ』と応援する判官びいき狙いの戦略も望んでいない。あるライバルだけに目を向けていると『朱に交われば赤くなる』場合があり、われわれはそれを望んでいない」と語っている。
Mickos氏は2006年、OracleがMySQLの買収を試みたことを明らかにした。
Mickos氏は基調講演でMySQLが成功を目指している分野について説明したが、Oracleの牙城であり、大企業の在庫管理、会計、顧客行動などを扱う大規模バックエンドデータベースはそのなかに含まれていなかった。
Mickos氏は講演のなかで、「われわれが知名度を上げたいのはオンラインデータベースの分野だ」と述べた。同社は、従来のウェブサイト、インタラクティブ化が進んだ「Web 2.0」世代の企業、通信業界サービス、サービスとしてのソフトウェア、そしてウェブページからアクセスするビジネスアプリケーションといった業務に対応したい考えだ。
PostgreSQL、Ingres、EnterpriseDB(オープンソース製品からプロプライエタリなソフトウェアを構築している)など、オープンソースデータベースのライバルは多いが、これらの競合各社がMickos氏の目にとまることは少ない。
同氏はIngresについて、「このチームは適切な仕事をしている。そのことは尊敬に値するが、顧客の入札では名前を見ない」と語っている。Ingresとは狙っている顧客が違う、と同氏は語っている。
もう1つの主力データベースベンダーが、DB2を擁するIBMだ。だが、同社はビジネスパートナーでもある。IBMは25日、「System i」サーバの顧客にMySQLを販売する販売代理店契約を発表している。同サーバはIBMの中規模企業向けハイエンドマシン。
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