英ウェールズ州ニューポート発--Folding@Homeに登録した「PLAYSTATION 3」(PS3)ユーザーは、ガン治療に貢献することが可能だが、今度は携帯電話所有者が、その携帯電話を利用して行方不明の子供を捜索することができるようになる。
イーストロンドン大学のSmartlab Digital Media Instituteでディレクターを務めるLizbeth Goodman教授は、「Lost & Found」というシリアスゲームプロジェクトの技術開発に「長い間」従事してきた。同プロジェクトは、ウェールズ大学で先週開催された「Women In Games 2007」というイベントで発表された。
「行方不明で捜索中の子供(および大人)を追跡するポータブルシステム」であるLost & Foundは、携帯電話のGPSやマッピング技術を利用することにより機能する。例えばユーザーは、その地域で誰かが行方不明になった場合に知らせを受けるように登録し、行方不明の子供の写真に似た人を見かけた場合には、その写真を撮ることにより、誘拐された子供が近くにいるかもしれないという事実を当局に通報することができる。また同ゲームは、一連の目的物を表示したり、道路や検索領域を封鎖する人員を結集したりもできるようになるという。
米国では約80万人、英国では7万7000人の子供が毎年行方不明になっている。Goodman氏は、これらの行方不明の子供(および大人)を追跡するための現行のシステムは捜索のきっかけとしてはよいが、時間の経過とともに忘れ去られてしまうと思うと述べた。「朝牛乳を飲むと、必ず行方不明になっている誰かの写真が貼られている。しかし忙しい一日を終えた後にその牛乳ビンの写真の顔を覚えていられる人はいない」と同氏は述べた。
Goodman氏は、なぜ同プロジェクトはゲームに分類されるのかという問いに対し、「プロジェクトに立派な名称がついていたり、警察が絡んでいたり、個人データを渡さなければならなかったりすれば、人々は興味を示さないだろう。しかしアバターを使用できるようにすれば、参加してもよいと思ってもらえる」と答えた。同ウェブサイトでは、「参加者は、自分自身の情報提供により、行方不明者が発見されたことを知ることができる。(これは)プレーの本質や、それに伴う責任感を変えるものである」と付け加えている。
Lost & Foundプロジェクトは現在、BBC R&D、Microsoft Research、The UK Serious Crimes Unit、The National Center for Missing and Exploited Children(米国)がパートナーになっている。
この種の技術に関するプライバシーや「ビッグブラザー」問題の可能性については、Goodman氏はGameSpotに対し、「もちろんそれらの問題にも細心の注意を払っており、それがこのプロジェクトの開発に長い時間が費やされている理由である。Lost & Foundはすべて既存の技術に基づいている。これらの技術はすでに利用されているものであるため、私が見る限り、われわれも安心して利用することができると思う」と述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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