大学の教科管理用ソフトウェアを開発するBlackboardが、特許侵害で同社から提訴されることを恐れるオープンソース界のライバルたちの不安払拭に向け、重要な一歩を踏み出した。
ワシントンD.C.に拠点を置くBlackboardは米国時間2月1日、同社が現在すでに保有する特許および係属特許をオープンソースプロジェクトに対し行使しないことを誓った。この誓約は、大学自らが学内で開発した教科管理ソフトウェアや、学生の成績の記録やテストの実施といった日常業務を処理するためのソフトウェアにも適用される。
Blackboardの最高法務責任者(CLO)であるMatthew Small氏は、「Blackboardは当初から、学校やオープンソースコミュニティーに対しては知的財産権を行使しないと述べてきた。本日われわれは、それを文書化する」と語った。
今回のBlackboardの発表に対し、オープンソース教育ソフトウェアプロジェクトのSakaiや、教育分野におけるコンピューティング技術の使用を促進しているEducauseと呼ばれる団体が支持を表明した。SakaiとEducauseは特に、Blackboardが今回の誓約に係属特許を含めた点を高く評価した。というのも、係属特許はこれまで、この問題に関する議論の行き詰まりの原因となってきたからだ。
これまでも、排他性とプロプライエタリ技術を重視する従来の知的財産権の世界と、共有と協力を重視するオープンソース活動との間で確執が生じてきたが、今回のBlackboardの動きもその一例といえる。Linuxなどのオープンソースソフトウェアは、資金繰りが苦しい大学でもプログラムが無料で入手可能であること、また学生らがソフトウェアの内部機能を調べ、修正可能であることから、大学の間では特に人気がある。
2006年に複数のオープンソース団体が、特にBlackboardが2006年に取得した特許に対し異議を唱えた。この特許(米国特許番号6988138号)は「インターネットを利用した教育支援システムおよび手法」と題されており、Blackboardのソフトウェアの中心機能に関する特許だ。この技術は、成績、資料、テストといったオンライン情報源へのアクセス権を利用者の属性(学生、教師など)に応じて変更し、付与するというもの。
こうしたオープンソース団体は、Software Freedom Law Center(SFLC)に支援を求めた。それを受け、SFLCは2006年11月に、米国特許商標庁(USPTO)に同特許の再審査を要請した。USPTOは2007年1月に、Blackboardが保有する44件全ての特許の申請を再審査することに合意した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ
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