ソニーの社運をかけた2つのビジネスが明暗を分けている。エレクトロニクス分野の復活に向けて中核に据えたテレビ事業が好調で増収増益となったものの、PLAYSTATION 3を中心としたゲーム分野は製造コストの高さなどから大幅な赤字となった。経営目標として掲げた2008年3月期の営業利益率5%達成に向け、ゲーム分野の早期黒字化が当面の課題となる。
ソニーが1月30日に発表した2007年3月期第3四半期(2006年10〜12月)の売上高は、エレクトロニクス分野や映画分野が好調で前年同期比9.8%増の2兆3751億円となり、四半期として過去最高となった。ただし、PLAYSTATION 3の価格引き下げなどが響き、営業利益は同14.9%減の1789億円となっている。
エレクトロニクス分野は液晶テレビ「BRAVIA」やデジタルカメラ「サイバーショット」が好調。特に液晶テレビは「欧州で32インチ以上の大型が予想以上に売れた」(ソニー執行役EVP兼CFOの大根田伸行氏)ことに加え、構造改革による製造工程の改善などもあり、四半期での黒字化を達成した。「2007年3月期の下半期全体でも黒字化が見えている」と回復に自信を示す。
一方の課題はゲーム分野だ。売上高はPLAYSTATION 3の発売で前年同期比5.6%増の4428億円となったものの、1台売れるごとに「306.85ドルの赤字」(米iSuppliの調査)と言われる製造コストが重くのしかかる。同分野の営業利益は前年同期から1220億円減少し、542億円の赤字に転落した。
「基盤の小型化、部品点数の削減、歩留まりの向上により、2008年3月期にゲーム分野の黒字化を目指す」と大根田氏は話しており、2007年中にどこまで生産効率を高められるかが焦点となりそうだ。
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