「PLAYSTATION 3」を購入したユーザーは、実際に支払った価格以上のものを手に入れているようだと、リサーチ企業iSuppliが述べている。
iSuppliが米国時間11月16日に発表したレポートによると、ローエンドの20Gバイトモデルは製造費および原材料費として805.85ドルかかっているが、ソニーは同モデルを499ドルで販売しているので、ゲーム機だけで1台当たり306.85ドルの赤字が出ているという。マーケティングや宣伝費を計算に入れれば、ソニーが負担しなければならないコストはさらに跳ね上がる。
60Gバイトのハードドライブを搭載するバージョンは、製造費および材料費に840.35ドルかかる。こちらは599ドルで販売されており、やはり費用が小売価格を241.35ドル上回っている。
ソニーの関係者は、PS3の製造コストに関してコメントを発表していない。
同社の最終的な概算値は、2006年初頭にほかのアナリストらが見積もった数字と一致する。2006年2月、アナリストらはPS3の製造および材料コストを725〜905ドルの間と予測していた。
一般的にコンソールメーカーは、自社のゲーム機を原価より低い価格で販売する。ゲーム機のコストを一部負担する代わりに、ゲームソフトに割増料金を上乗せし、その販売によって利益を得る仕組みを採用しているのだ。
ゲーム機自体の価格も、ムーアの法則に従って下落し続けている。ソニー・コンピュータエンタテインメント社長の久夛良木健氏は2006年初め、1999年当時の「PLAYSTATION 2」では、内蔵するプロセッサおよびグラフィックチップの専有面積をそれぞれ239ミリ平方メートル、279ミリ平方メートル確保する必要があり、チップのサイズも大きく(そして価格も高く)なっていたと話した。2004年までにこれら2つのチップは1つにまとめられ、従来の約6分の1の大きさ、すなわちわずか87ミリ平方メートルのスペースに設置できるようになった。
Merrill Lynchは、3年以内にPS3の製造および材料コストは320ドルにまで落ちると予想している。
それでも、Microsoftのゲーム機「Xbox 360」などと比べて、ソニーがPS3でユーザーのために負担している金額は大きい。プレミアム版Xbox 360の製造および材料費は323.30ドルだが、販売価格は399ドルと設定されているので、ゲーム機のコストは75.70ドルのプラスとなる。もっとも、発売当初の製造および材料費原価は501〜525ドルだった。
PS3の製造コストを押し上げている主な要因は、Blu-ray Discドライブと、同機に実装されている特製チップに関する経費だ。Blu-ray Discドライブのコストは125ドルで、「Cell」マイクロプロセッサも約89ドルほどかかっている。さらには、東芝がPS3のために開発したグラフィックチップ「Reality Synthesizer」が、129ドルもするのである。
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