オーストラリアの控訴裁判所は現地時間12月18日、インターネット上に掲載されている著作権で保護された音楽に、許可なくリンクを張ることは違法になる場合があるとの判決を下した。
オーストラリア連邦裁判所の裁判官3名によって審理されたこの問題は、元警察官のStephen Cooper氏が運営していたウェブサイト「MP3s4free.net」(現在は閉鎖されている)で、他のサーバーがホスティングする著作権で保護された音楽のMP3ファイルへのリンクを掲載することが、合法かどうかを問うものだった。Cooper氏はどうやら、著作権で保護された音楽そのものをMP3s4free.netに掲載することはなかったようだ。
一審で2005年夏に1人の裁判官によって下された判決を支持しつつ、控訴審の陪審は、リンクを張る行為はオーストラリアの著作権法に違反する場合があるという見解に同意した。これにより、2004年にこの裁判を起こしたUniversal Music Australiaと他の大手レーベルが勝訴した。
Susan Kenny裁判官は、意見書の中で次のように記している。「当該ウェブサイトの主目的は、録音物の違法コピーをダウンロード可能にすることだった。このサイトには、ダウンロード行為は違法になる可能性があるとの警告も掲載されていたが、それが違法行為に対する抑止力になることはなかった」
クイーンズランド州に住むCooper氏は、MP3s4free.netでは同氏の管理なしにユーザーが「自発的に」リンクを追加できたため、違法な複製行為を防げなかったと主張した。Cooper氏は自身のサイトをGoogleの検索エンジンになぞらえ、どちらもユーザーに別のサイトを示すための仕組みだと主張した。しかし、1人の裁判官は、Googleは音楽ファイルのダウンロードだけを意図したものではないという理由などから、この類比は「(主張の)役に立たない」と判断した。裁判官の意見ではまた、検索大手のGoogleでさえ望むものすべてに自由にリンクできるわけではない、と指摘している。
さらに、著作権で保護されたファイルへのアクセス制限について、制限するようサイトを設計できたにもかかわらず、Cooper氏は制限しないことを「故意に選択」したことにより、著作権侵害での有罪判決を言い渡されることになったと、裁判官たちは説明している。
不正なコンテンツへリンクを張ることが違法だと裁定されたのは、今回の訴訟が初めてではない。米国連邦控訴裁判所は2001年、ニュースサイトに対し、DVDを解読するためのソフトウェアにリンクを張ることを禁止する判決を下した。「あらゆる場所のあらゆる人に対し、著作権で保護された映画のDVDへの不正なアクセスを瞬時に可能にする(ハッカー向け雑誌出版の2600 Magazineが提供した)機会を、リンク禁止命令は有効に規制する」と、同裁判所は説明した。1999年には、オランダの裁判所でも同様の判決が出ている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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