サンフランシスコ発--火星を調査する米航空宇宙局(NASA)の2つの探査車のうち調子がよい方のOpportunityは、火星の水についての情報を得るため、大きなクレーターの縁を調査する予定だ。また、クレーターの内側にさえ進入するかもしれない。
「Mars Exploration Rover」プログラムの主任研究者でコーネル大学の教授を務めるSteve Squyres氏によると、Opportunityは、火星のクレータの中でかなり規模の大きいビクトリアクレータの縁に到着したという。Squyres氏やその他の人たちは、火星において遠い過去に水が存在したと考えているが、ビクトリアクレータの地質を調べることにより、地下水の化学組成と、どの程度の量が存在したかという点について、重要な手がかりが得られる可能性がある。
Opportunityはビクトリアクレータに達するまで、起伏も多い約7kmの距離を21カ月ほどかけて走破しなければならなかった。科学者たちは、ようやくクレータに到着したOpportunityをせり上がった縁のあちこちに移動させ、クレータ内に進入してまた出てこられるルートの発見に努める。
かつて火星に水が存在したかという議論はおおむね決着がついた、とSquyres氏は説明する。これまでに探査車が集めた鉱物は、遠い昔、火星に水が存在したことを示唆している。科学者たちは現在、その水のpHバランスその他の問題について調査をしているところだ。
しかし、水の大部分は地下に閉じ込められていた。探査プロジェクトのこれまでの発見によると、地表に水がたまった形跡がある場所は小さな部分3カ所だけだ。
「地下には非常にたくさんの水があったが、それが地表に出てくることはごくまれで、出てきたとしても場所や時期は異なっていた。火星は主に、乾燥した環境だった」と、サンフランシスコで開催中の「American Geophysical Union」(AGU)でのプレゼンテーションで、Squyres氏は述べた。
現在でも、火星、あるいは少なくともその大気は、完全に乾燥しきっているわけではない。探査プログラムの副主任研究者でワシントン大学教授のRay Arvidson氏は、もう1台の火星探査車Spiritが過去9カ月の間に、氷の雲がかかっている証拠を発見したことを指摘している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」