楽天は11月16日、2006年12月期の第3四半期(7〜9月)連結決算を発表した。
両翼の1つとなる仮想モール事業が伸びて売上高は前年同期比5.7%増の477億9200万円だったが、利益面は金融事業の再構築に伴う損失を理由に赤字。営業損益16億3800万円(前年同期は125億4000万円の黒字)、経常損益は21億9800万円(同130億4200万円)、純損益は158億2300万円(同60億1300万円)だった。
一方、2007年に仮想モールの管理システムなど同社オリジナルのサービス全般に関するAPIを提供すると公の場で初めて発表。先行してオープンかつ効率的な経営体制に刷新したことで、Web 1.0企業と見られていた楽天は屋台骨のEC事業をテコに、web 2.0企業への転身を「宣言」から「実行」に移したい考えだ。
米広告事業会社のLinkShareを含むEC事業の売上高は、前年同期比77.5%増の141億9800万円、営業利益は同27.5%増の34億5500万円。国内の主力EC事業の売上高は特別出店プランや営業所の増設などにより、同55.2%増の98億5500万円、営業利益は同47.6%増の39億8800万円だった。
仮想モールの取扱高は1100億円に拡大、ユニーク購入者が初めて400万人を突破し、年間ベースで取扱高5000億円を目指せるレベルに到達。ここ数年の目標となる年間取扱高1兆円の半分程度を、仮想モールだけで稼ぐ規模に成長した。しかし、取扱高の伸び率はここ1〜2年で鈍化傾向にあり、70〜80%増程度だった伸び率は第3四半期で38.5%増にまで縮小している。
金融事業は内外の事情を受けて業績が落ち込んだ。クレジット・ペイメント事業の売上高は前年同期比21.5%減の184億1200万円、営業損益は84億2100万円(前年同期は45億7500万円の黒字)。将来性を見込めないと判断したクレジット事業撤退に伴う事業再構築が主因で、「来年は(業績的に)いい年になる」(三木谷氏)と見ている。証券事業を手がける楽天証券の売上高は、同22.3%増の76億9900万円、営業利益は同32.8%減の22億1300万円。手数料引き下げやシステムトラブルに伴うコスト増が響いた。
今後の成長や収益率の立て直しを目指し、新経営システムとなる「グロースマネジメントプログラム」を導入。縦割りの事業構造に横ぐしの視点と経営の視覚化などを組み込むことで、効率的な事業展開と人の交流や育成を強化する狙いのもの。新規事業の孵化や育成においても寄与すると見ている。
TBSとの経営統合案件については、「先方との議論は大体終わったので、これからどうしていこうかという段階にまできている」(楽天副社長の國重惇史氏)とコメントした。
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