パリを拠点とする言論の自由擁護団体、国境なき記者団(Reporters Without Borders:RWB)は現地時間11月7日、同団体がオンライン上の表現の自由を制限する政体と認識する「インターネットの敵」の年次リストを発表した。
このリストに新たに加わったのはエジプトだ。RWBはホスニ・ムバラク大統領がインターネットに関して「極度に不安を生じさせる権威主義」を示していると断言している。
「エジプトは過酷な制圧状態にあり、ブロガーが投獄されている」と、RWBのJulien Pain氏は語った。同団体は民主的な改革を要求した3人のブロガーが6月に逮捕、拘留されたことに抗議している。
また、インターネットへの制圧を緩めたとRWBが判断してリストからはずれたのは3カ国だ。リビアはインターネットの検閲やネットで活動する反政府分子の投獄をやめたが、同団体では今でも指導者のムアンマル・カダフィ氏を「報道の自由の略奪者」としてとらえている。ネパールとモルジブもインターネットの検閲をやめたと同団体では述べている。
RWBではIT担当者やユーザーに「オンライン投票」に参加するように求めている。これは参加者に世界地図のなかでインターネットの自由を制限していると思われる国を1回クリックするよう促すものだ。キャンペーンは公式には終了しているが、Pain氏によるとウェブサイトでは「あと数日間」投票が可能になっているという。7日に開始したこの投票には24時間で1万7000人を超える人々が参加した。
RWBではまた、抑圧的な政体と取引している技術企業やこれらの企業の製品の販売業者にIT担当者たちが話をして、市民の自由への懸念があることを気づかせようと呼びかけている。
「IT担当者は、Cisco(Systems)の製品を仕入れている販売業者と話ができるだろう。業者たちはCiscoが中国政府に協力していることを知るべきだ。私はCisco製品をボイコットすべきだと言っているのではない。けれど、同等で同じ価格の製品が2種類あるならば、Cisco製品は買わないでくれ」と、Pain氏はZDNet UKの取材に応えている。
Ciscoは「万里のファイアウォール」(Great Firewall of China)と呼ばれる検閲を支えるルーターを中国政府に供給している。これは中国政府が、容認しがたい政治的イデオロギーや政治団体をも含めて、検閲したい特定のキーワードを対象にウェブトラフィックを検査するものだ。
他にもRWBでは、今年4月にジャーナリストShi Tao氏が逮捕、起訴され10年の刑を言い渡された事件で役割を担ったYahooに対して「関わる」こともIT担当者に勧めている。この事件でYahooは電子メールの記録を中国政府に提供していた。IT担当者たちは、Yahooに対して中国のメールサーバを移転するよう申し入れをすることもできると、同団体は語る。
RWBの「インターネットの敵」リストには現在、ベラルーシ、ビルマ、中国、キューバ、エジプト、イラン、北朝鮮、サウジアラビア、シリア、チュニジア、トルクメニスタン、ウズベキスタン、ベトナムの13カ国があがっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」