マサチューセッツ州ケンブリッジ発--ウェブが利用されるようになってから10年以上が経った今、ウェブの世界のリーダーたちがこれを、世界中に普及したツールから科学へと進展させようとしている。
マサチューセッツ工科大学(MIT)および英国サウサンプトン大学の関係者らは米国時間11月2日、ますます利用の進むウェブの社会的および技術的な意義を研究するための学際的なプロジェクト「Web Science Research Initiative(WSRI)」を発足すると発表した。
2大学は、博士課程の学生を対象とした研究センターを設立し、最終的にはウェブサイエンスに関する学士号の履修課程を設ける予定である。設立のための資金は企業から募る計画であり、すでにGoogleとIBMがWSRIを支援することが決まっている。
ウェブの生みの親であり、現在は標準化団体World Wide Web Consortium(W3C)のディレクターを務めるTim Berners-Lee氏は、「ウェブは、基本的には人々の集まりであり、社交の場である」と述べた。「ウェブはわれわれが作成したものである。これをより良いものにしていくことはわれわれの役目である」(Berners-Lee氏)。
MITのコンピュータ科学・人工知能研究所(Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory:CSAIL)のシニア研究科学者でもあるBerners-Lee氏はMITにおいて2日、他の関係者らと共にこの取り組みについて説明した。
2大学は、社会科学、心理学、生命科学など複数の学問を技術の発展に結びつけようとしている。
関係者らによると、ウェブの世界でも社会が構築されつつあることや、ウェブそのものが社会に大きな影響をもたらしていることから、この分野はコンピュータ科学とは別の学問として探求すべきであるという。例えばeBayが興味深いのは、それが何百万人もの人々の参加によって成り立っているからである。同様にGoogleは、検索結果を改善するために、数学的なアルゴリズムを用いて、膨大な数の人々を対象に人々がどのように他のページへリンクするのかを調査した。
サウサンプトン大学のコンピュータ科学の教授であるWendy Hall氏は、「人間、コミュニティ、ビジネスに対して、これらの新技術がどのような影響を及ぼしていくかという点について何らかの予測を立てていきたい」と語った。
社会科学はオンラインコミュニティを分析するのに役立つし、生命科学の知識は人体、またはウェブのような複雑なシステムの仕組みをウェブ科学者が理解する上で必要だ、と同氏は述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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