米サンディエゴで今週、IT業界の著名人が集まるイベントが開かれる。このなかでは、いつ頃人類が宇宙にバケーションに出かけるようになるかや、新たなエネルギー源の開発の方法が探られるほか、ロボットやスーパーコンピュータなどの話題も採り上げられることになっている。
この「Future in Review」カンファレンスには、ITや政治、ベンチャーキャピタル、科学の各分野で影響力を持つ著名人が数多く参加し、3〜5年後という近い将来に向けて描くビジョンを披露する。参加予定の顔ぶれのなかには、DellのMichael Dell氏、SymantecのJohn Thompson氏、QualcommのPaul Jacobs氏といったIT業界大手のCEOの名も混じっている。そのほか、インドのアウトソーシング企業Wiproの会長Azim Premji氏、ブログコミュニティーで活躍するDave Winer氏とDan Gillmor氏、そしてSF作家のVernor Vinge氏なども参加する予定だ。
このカンファレンスを取り仕切るのは、元Fortune誌記者のMark Anderson氏で、同氏は同カンファレンスに先だって行われたインタビューのなかで、「未来は予測できないと言われるが、実際には予測は可能だ」と語っている。
Anderson氏は多忙な人物だ。同氏は、Future in Reviewカンファレンスの開催準備に加え、「Strategic News Service」と呼ばれるニュースレターの執筆と編集や、教育現場での技術を扱う「Project Inkwell」と呼ばれるコンソーシアムの運営を手がけるほか、余暇にはOrca Relief Citizens' Allianceを主催し、クジラの保護活動も行っている。
同カンファレンスは、リラックスした雰囲気のなかで話が速いペースで進んでいくが、Rittenberg Associatesの創業者で中国問題の専門家であるSidney Rittenberg氏によると、Anderson氏が有名な講演者をこれだけ集められたのも、この特徴のおかげだという。Rittenberg氏は、米国が中国や日本、台湾、びインドとの関係を慎重に考えることの必要性についての講演を予定している。同氏はカンファレンス開催前に行われたインタビューのなかで、これらの各国が「当面のハイテク業界の成長のカギを握る」と語った。
Warburg Pincusの副会長で、同じく同カンファレンスで講演予定のBill Janeway氏は、「Markは対話を継続できるコミュニティーを構築した」と語っている。Anderson氏のおかげで各分野の専門家が興味深い話題を提供し、それに対して提案や感想、さらには批判をすることも可能なため、影響力のある人々は同カンファレンスを気に入っていると、同氏は説明した。
Anderson氏は、同カンファレンスの目的について、参加者にIT業界以外の世界について広く理解してもらうことだと述べている。「われわれはここで、予想を行うことについて考えようとしているが、テクノロジーに関する優れた予想を行いたいなら、テクノロジーだけを見ていてはだめだ」(Anderson氏)。同カンファレンスの議題の大半を占めているのは、宇宙飛行やナノテク、ロボットなど、テクノロジー関連の話題だが、しかしAnderson氏は財務モデルや鳥インフルエンザの脅威についてのセッションも設けている。
開発途上国へのテクノロジー供与についてに交わされてきている議論は、今年の主要なテーマの1つになるだろう。IntelやAMD、それにOne Laptop Per Childのような組織では、開発途上国向けのローコストPC開発を進めているが、同カンファレンスではNdiyoのエグゼクティブディレクター、Quentin Stafford-Fraser氏が、非常に安価なLinuxシンクライアントをつかってアフリカの村々をつなぐプロジェクトの計画について発表することになっている。
「年収が1ドルといった人々が盗られたり壊れたりするものに100ドルも出す、と考えるのは賢明なことではない」とAnderson氏は言う。数十億人もの貧しい人々にネット接続環境を提供しようという場合、携帯電話のように、簡単に代わりが見つかり、しかも強力なサーバに接続できるもので、機能は限られるが安価な端末のほうが優れた方法だと、同氏は述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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