「新世代」の犯罪集団が企業に侵入する中、企業のセキュリティにとって最大の脅威は今もなお従業員だと、英国の犯罪取り締まり機関、重要組織犯罪局(Serious Organised Crime Agency:SOCA)が指摘した。
SOCAでサイバー犯罪に関する渉外担当官を務めるTony Neate氏は、現地時間4月25日に、ロンドンで開催された「Infosecurity 2006」で発言し、企業内に存在する「犯罪組織のまわし者」が企業に深刻な被害をもたらしていると語った。
「詐欺行為やID盗難などもあるが、最大の脅威はやはり、信頼されている内部関係者と言える。企業内にいながら、システムを攻撃する人たちだ」(Neate氏)
「(組織犯罪は)変容を遂げた。従来のような組織犯罪もいまだに存在するが、現代の犯罪者たちは従業員や請負業者に接触することを覚えた。こうした新世代の犯罪者は、コンピュータ関連の学位を持っていたり、自らの組織を企業化している場合もある。幅広い人脈を持ち、組織構造も以前とは異なる」と同氏は説明した。
SOCAはこれまでマスコミの注目を避ける傾向にあり、SOCAの発足後関係者が公の場で発言するのは今回のNeate氏がほぼ初めてとなる。
4月に入って設立されたSOCAは、国家犯罪対策局(National Crime Squad:NCS)や国家犯罪情報部(National Criminal Intelligence Service:NCIS)、、歳入関税庁、移民局の専門家を集めた組織だ。
さらに、これまで英国でインターネット犯罪の取り締まりにあたっていた国家ハイテク犯罪対策部門(National Hi-Tech Crime Unit:NHTCU)も、SOCAへ統合された。
SOCAの局長には、英国内のスパイ防止活動を担当する情報局保安部(MI5)の元部長、Stephen Lander氏が就任。予算額は4億ポンド(7億630万ドル)超で、約4200人のスタッフを抱えている。
SOCAの年間計画では、同機関の取り組みの内訳は、およそ40%が麻薬密売、25%が組織的な出入国犯罪、そして10%が身分詐称やインターネットバンキングや電子商取引におけるサイバー詐欺など、個人あるいは民間企業に関わる不正行為とされている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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