Freund氏の実験は研究室内で行われたものだが、これをより広い地域に当てはめてみれば、適当な条件の下で、この現象が断層の周辺地域で電磁場の変化を引き起こす可能性はある。
地震は2つの地質構造プレートが正面衝突、あるいは互いにスライドするときに発生する。電磁場の変化は、2つのプレートの境目の岩石が擦れ合う際に発生する可能性がある。
圧力をかけられた岩石が正電荷を放出することは、地震の前兆と呼ばれるもうひとつ現象も説明する。地球が正電荷を帯びると、上空約90キロメートルを覆う電離層にある分子が正電荷を帯びて層から押し出され、その代わりに負電荷を帯びた分子がそこに入る。
このように、電離層の一部が負電荷を帯びた分子に突然入れ替わることは、電波とその受信を干渉する。実際、電波干渉は大規模な1960年のチリ大地震と1964年のアラスカ地震の数日前にも起こっている。
圧力をかけられた岩石はまた、赤外線エネルギーの高まりも説明する。赤外線エネルギーは、熱を伴わない発光現象であるルミネセンスとして、いくつかの地震で観測されている。1965年〜1967年の間に日本で地震が多発した際、空中に不可解な光が観測されているが、これは地震により生じたエネルギー放出の現れということができる。NASAのゴダード宇宙飛行センターの科学者も、地震の数日前に約50〜100キロメートルの上空で赤外線エネルギーの放出があったことを示すデータを記録している。Freund氏の実験では、圧力をかけられた岩石が生成した正電荷は赤外線エネルギーに転じている。
「ラボで行った実験から、2つのことがいえる。1つ目は、岩石を砕こうとすると、岩石は砕ける前に電流を発生するということ。2つ目は、電荷を帯びた分子がエネルギーを発する際、岩石は赤外線エネルギーを生成しているということだ」(Bleier氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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