シスコ、実現に向かうIPコンバージェンス構想--サイエンティフィックアトランタ買収で

Marguerite Reardon(CNET News.com)2005年11月21日 14時03分

 IPコンバージェンスと家庭内ネットワークに力を入れるとしてきたCisco Systemsが、そうした分野に実際に資金を投入し始めている。

 同社は米国時間18日、ケーブルテレビ向けセットトップボックスや映像伝送技術を提供する最大手企業Scientific-Atlantaを買収すると発表した。最終的な買収金額は、53億ドル相当になるという。

 Ciscoは以前から、いずれはデータ/音声/映像トラフィックが単独のネットワークで伝送されるようになるという、ネットワークコンバージェンス構想に言及してきた。こうした構想は、通信事業者内のネットワークではすでに実現されている。ケーブル事業者や電話会社の多くは、内部のトラフィックをCiscoのルータやスイッチを利用するIPネットワークでやり取りしている。

 今日では、ケーブルテレビ事業者および電話会社が、高速インターネットアクセスと通話サービスばかりでなく、映像までをもIPネットワーク経由で提供する三位一体のサービスを一般顧客に販売し始めており、こうしたトレンドがついに家庭へと波及するようになった。

 将来のテレビサービス提供形態がこのような抜本的変化を遂げると考えられていることで、IPネットワーク機器メーカーCiscoとケーブルテレビ機器メーカーScientific-Atlantaの間で結ばれた契約も有望視されている。

 Ciscoのコーポレートビジネスデベロップメント担当シニアディレクターNed Hooperは、「ネットワーキング市場は今、変貌しつつある」と話す。「IP電話テレビサービスが世界的活況を呈している。Ciscoは、当社とScientific-Atlantaの製品および技術を組み合わせることで、こうした新たなネットワークを構築しようとするサービスプロバイダーに完全性の高いソリューションを提供できると考えている」(Hooper)

 実際のところ、市場の変移を示す証拠は豊富にある。米国では、電話会社大手であるVerizon CommunicationsとSBC Communicationsの2社が、テレビサービスを配信できる新しいネットワーク構築に何十億ドルもの資金をすでに投入している。また、世界中の何百社という電話会社が、IPを利用してユーザーにテレビサービスを提供する計画を進めている。

 ケーブルテレビ事業者も、IPを将来性のある技術として見なすようになった。こうした企業の顧客の大半がデジタルサービスに移行して、高画質番組を求め始めている中、ケーブルテレビ事業者はIPを活用してみずからのネットワーク帯域を有効利用しようとしているのだ。

 Ciscoのルーティング技術部門シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャMike Volpiは、「Ciscoはかなり前から、IP経由での映像ストリーミング配信を展望してきた」と、米国時間18日に開催されたカンファレンスで発言した。「さまざまな理由によりその実現は阻まれていたが、映像のブロードバンド配信が現実のものとなり始めた今日、われわれは大きな転機を迎えていると感じている」(Volpi)

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