双方向性の中心として
Ciscoは長い間IPコンバージェンス構想のメリットを説いており、IP技術が家庭の新たなるデジタル化の要となると予測してきた。テレビからトースターまで、あらゆるものが無線IPネットワークを介してつながる時代が来るというのである。
Ciscoが2003年にLinksysを買収したのも、主にこうした理由からだ。消費者市場へ参入し、インフラストラクチャベンダーとしてだけでなく、家庭用ネットワーク機器サプライヤーとしての認知をも獲得しようとしていた同社は、Linksysの買収を足がかりとした。Linksys製品ラインを取得したことで、Ciscoは複数のPCおよびノートPCを接続するのに使用する家庭用無線ルータの最大手プロバイダーの1社となったのだ。
PCからテレビまで
もっともCiscoは、こうした家庭におけるIP革命はPCの領域を越えてさらに進むと予期していた。同社は以前から、テレビのようなエンターテインメント製品が家庭内ネットワークで重要な役目を果たすようになると考えていたのである。
Yankee GroupのアナリストZeus Kerravalaによれば、「家庭向けエンターテインメントおよびネットワーク分野には多額の資金が投下されつつあり、Ciscoはその分け前にあずかろうとしている」という。
したがって、Ciscoにとって、家庭向けエンターテインメントの中心であるテレビと通信事業者のネットワークを結ぶデバイスを手中に収めることが肝要になる。そのデバイスとは、すなわちセットトップボックスである。セットトップボックスは、通信事業者ネットワークの拡張端末として働く。通信事業者は、みずからのネットワークからリモートで保守管理可能なセットトップボックスを、サービスの一環として提供する。
Pacific Growth Equitiesのネットワーク関連セールス専門家Erik Suppigerは、「今回の買収が常軌を逸しているとは思わない」と話す。「製品ポートフォリオの拡充という観点から見て、理にかなった買収だ。最大の難関は、2社の企業文化を融合し、そうした構想を実現することである」(Suppiger)
確かにこれは険しい道のりのようだ。Scientific-Atlantaは、Ciscoがこれまで買収してきた企業と比べてはるかに規模が大きい。同社が取得した企業は100社以上に及んでいるが、その大半が売り上げの少ない小規模な新興企業だった。買収企業の所在地も、カリフォルニア州サンノゼのCisco本社に近いことが多かった。だがScientific-Atlantaは、年間の売り上げが約20億ドルに達する有力な企業で、本拠もシリコンバレーから遠く離れた東海岸のジョージア州に置かれている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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