先週公開されたあるブログの投稿がきっかけで、ゲーム業界の劣悪な労働条件に対する批判が高まるなか、大手ゲームメーカーのElectronic Arts(EA)が不払い残業を理由に訴えられた。
サンフランシスコの法律事務所Schubert & Reedのパートナーである、Robert Schubert弁護士によると、同氏はEAの従業員グループを代表して、集団訴訟の手続きを開始したという。「これまで残業代がきちんと支払われていない従業員がかなりの数にのぼる。われわれは、これらの従業員に対して残業代を支払うよう(EAに)求めている。EAは、彼らが残業代の支払対象外だと主張しているが、われわれはそのようには解釈していない」(Schubert)
今年7月29日には、Jamie Kirschenbaumという人物がEAを相手取った訴訟をサンマテオ高等裁判所で起こしている。Kirschenbaumの弁護士によると、同氏はEAでイメージ制作アーティストとして働いているという。
EAの広報担当は米国時間12日、電子メールを通して「訴訟問題に関するコメントは差し控えたい」と述べた。
今回の訴訟の背景には、ゲーム業界のすさまじい労働時間に対する非難の高まりがある。10日にはEAを非難する匿名のブログが公開されたが、それによると「現在、従業員は週7日間、午前9時から午後10時まで働かされている。そして、ときどき土曜日の夕方(午後6時半以降)にオフをもらえる状況だ」という。なお、この投稿者は自分の身元についてEA従業員の「身内」だとしている。
これに対しEAの広報担当は11日、同社では噂にはコメントしない方針だと述べた。
最初の投稿以来、このブログには何百ものコメントが寄せられており、多くの人が、開発者をこのように扱うのはEAだけでないと述べている。なかには「ゲーム業界では、ホワイトカラーの奴隷制度が今も続いている」というコメントもある。
このような不満の声は、International Game Developers Associationが今年行った調査の結果を裏付けるものだ。同組織によると「(ゲーム業界では)年中締め切りに追われており、従業員はその間、1週間に65〜80時間も働いている。また、残業代が支払われないケースも多い」という。
今回の訴訟で、原告らは、EAがカリフォルニア州法で規定された残業代の支払いを怠ったと主張している。カリフォルニア州法では「生産、あるいは他者が作成したイメージをテレビゲームにコピー/インストールすることを主な業務内容とする従業員に対し、企業は残業代を支払わなくてはならない」と定められており、これらの従業員には「アニメーター」や「モデラー」、「テクスチャーアーティスト」、「ライター」、「背景デザイナー」、「環境デザイナー」が含まれるとなっている。
Todd Heymanという、Kirschenbaumの代理を務める別の弁護士によると、テレビゲーム用イメージを制作する労働者の給与事情は、映画業界で働く人のものとは大きく異なるという。「映画業界では残業代が支払われる。ところが、同じような仕事をしているにも関わらず、テレビゲーム業界では残業代が支払われない」と同氏は述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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