高度な画像処理技術によって脳の機能を調査している研究者がいる一方で、マウスをクリックするだけで脳の働きの速度を測定している科学者たちもいる。
サンフランシスコに拠点を置くPosit Scienceは、つい最近、音を聞き分ける速度によってその人の脳の情報処理速度を測定するプログラムを発表した。
Posit Scienceによると、「毎日われわれが受け取る情報のほとんどは、音--特に会話を通じてやりとりされていることから、聴覚処理の速度は重要だ」という。同社は脳の働きを促進するソフトウェアを開発した。「情報を、正確に、すばやく取り入れることができれば、それだけ聞いたことをよく理解し、応答し、覚えていることができる。」(Posit Science)
同社のウェブサイトでは10分間のオンラインテストが受けられる。このテストでは、被験者に音の違いを矢印をクリックして回答させ、回答の速さと正確さを測定する。テストが終了すると、回答者はミリ秒までの精度で自分の脳の処理速度を知ることができる。
平均的な聴覚処理速度は、20歳代が68ミリ秒で、40歳代になると87ミリ秒、そして60歳代になると106ミリ秒になる。
脳の反応速度から、スーパーボウルでの広告に対する感情的な反応まで、さまざまな反応の測定を可能にする技術の進歩に伴って、近年では脳の研究が盛んになってきている。Posit Scienceは神経科学者でソフトウェアエンジニアでもあるMike Merzenich氏が始めた会社だが、特に認知能力を高め、老化による影響を押し戻すためのソフトウェア開発に注力している。
最近の研究成果によると、同社が開発した脳の機能を高めるソフトウェア(コンピュータベースのトレーニングプログラム)は、高齢者に好ましい効果を与えていることが分かった。Posit Scienceが行った8週間のトレーニング研究に参加した高齢者らは、神経認知機能と記憶が向上し、聴覚記憶と注意力で、平均して10歳は若返ったという。
だが、脳のスピードと記憶力を改善するソフトウェアは安くはなく、パソコン1台につき500ドル、またはDell Dimension 1100との組み合わせで1000ドルとなっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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