「次の偉大な発明」を期待するな-- IBM幹部が語る今日のイノベーション

文:Jeanne Lim(ZDNet Asia)
翻訳校正:河部恭紀(編集部)
2006年03月16日 13時49分

 シンガポール発--IBMの高名な思想的指導者が、20世紀の終焉とともに発明の時代も終わりを告げたと語った。

 IBMでイノベーション&テクノロジ部門のエグゼクティブバイスプレジデントを務めるNicholas Donofrio氏は現地時間3月14日、ZDNet Asiaによるインタビューの中でこのように発言した。同氏は、Infocomm Development Authority of Singaporeが組織した「Infocomm International Advisory Panel」の初会合に出席するため、シンガポールを訪れていた。

 「実際のところ、現代におけるイノベーションは20世紀のそれとは少し異なっている。より魅力的で新鮮なものを生み出すのは、(今では)そう簡単なことではなくなった」(Donofrio氏)

 Donofrio氏はさらに、「次はどのような偉大な発明が登場するのかと期待するのは、止めた方がよい。偉大な発明などというものは、もう現れないのだから」と語った。

 ただし、21世紀には発明も創造も発見も必要ないと言っているわけではないと、Donofrio氏は釘を刺している。そうではないが、最近の人々は創造から生まれる価値の方を追い求め、テクノロジそのものを評価することを止めてしまったのだという。

 Donofrio氏は、イノベーションを実現するには、協力的で多面的な考え方をする必要があり、そうするかしないかで勝者と敗者が決まると述べた。

 また、今日のイノベーションは、単なる新製品開発の域を超えて、サービス、プロセス、ビジネスのモデルや文化的刷新を意味するようになっていると、Donofrio氏は指摘している。

 「世界中の人々がこれと同じことを言っている。IBMが750名(の最高情報責任者)を対象として実施した調査では、すべての回答者がイノベーションを最優先課題として挙げた。わたし自身もイノベーションに時間を割いているし、気にかけている」(Donofrio氏)

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