松下電器産業は2月2日、2006年3月期の通期業績予想を上方修正すると発表した。FF式石油温風機および石油フラットラジアントヒーターの回収問題で240億円の特別損失を見込むが、プラズマテレビなどの主力商品が好調なうえ、円安により為替差益が発生し、営業利益が15年ぶりに4000億円台に達する見込みだ。
今回発表された通期業績見通しは表1のとおり。プラズマテレビや液晶テレビ、デジタルカメラなど、同社が「V商品」と呼ぶ主力商品群が好調だ(表2)。競争激化による価格下落が進んだものの、構造改革や固定費の削減が進んだこと、為替差益が発生したことから営業利益が大幅に増えると見ている。営業利益率は4.5%となる見通しで、経営目標として掲げた2007年3月期の営業利益5%という数字が射程圏内に入ってきた。
表1:2006年3月期の通期業績見通し
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表2:2006年3月期の商品別販売増減分析
ブラウン管テレビ(CRT)や携帯電話が減収要因となるものの、プラズマテレビなどが好調で売上高は前年同期を上回る見込みだ。
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FF式石油温風機等の回収問題については、宣伝告知費用が130億円、回収費用が60億円、社員が販売代理店を回って対策を施す費用が50億円程度かかる。テレビCMを1万8200本差し替えたほか、チラシを3億30000万枚配布し、さらには日本の全世帯に告知ハガキを配送するなど、「最後の1台まで(見つける)という覚悟で、何年かかるか分からないが引き続き進めていく」と代表取締役専務の川上徹也氏は話す。
松下電器は同日、2006年3月期第3四半期(10〜12月)の決算についても公表した。デジタル家電や半導体、電池などが世界的に好調で、過去最高の売上高となった(表3)。なかでもプラズマテレビが好調で、世界販売金額は前年同期比約2倍の1483億円となったという。また、デジタルカメラは薄型の「LUMIX FX9」が2005年12月に機種別の国内シェアで1位になったとのことだ。
表3:2006年3月期第3四半期の業績
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このほか、米国の子会社であるMEI Holding(MHI)が保有していたUniversal Studios関連をVivendi Universalに売却し、MHIを精算することも明らかにした。「映画業界との結びつきを強め、DVDフォーマットを確立するとともに、著作権保護技術の研究をするという当初の目的を達成し、特定のコンテンツ会社と資本関係を維持する意味が希薄化したため」(川上氏)という。この株式売却により、100億円程度の特別益を得るとしている。
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