Walt DisneyがPixar Animation Studiosを74億ドルで買収する。このことはハリウッドに衝撃を与えると同時に、Apple Computerの最高経営責任者(CEO)Steve Jobsが映画業界で最も強い影響力を持つ人物のひとりとなることを意味する。
一方、今回の買収について、Pixar映画を愛するファンたちからは、Pixarの独自性が損なわれるのではないかという懸念の声も上がっている。結果は時間が経たねば分からないが、ここでは、この買収の重要点について大まかに見てみたい。
--Disneyはいくら支払うのか。
両社の説明によれば、DisneyはPixarの発行済み株式1株につき自社株2.3株を発行し、株式交換の形でPixar株を全て買収する。総額74億ドル相当を支払うことになるが、一方でDisneyはPixarの保有する現金約10億ドルも引き継ぐ。
--これからは誰がPixarを運営するのか。
PixarはDisney Animation Studiosに取り込まれるが、Pixarの現社長であるEd CatmullがDisneyとPixar合併会社の社長に就任する。Pixar映画の大半で監督を務めたJohn Lasseterも新会社でクリエイティブ部門の最高責任者に就任、Disneyのテーマパーク部門を含む他部門のアドバイザーとなる。
CatmullはWalt Disney Studios会長のDick Cookの直属、LasseterはDisneyの最高経営責任者(CEO)のBob Igerの直属となる。
--買収完了はいつか。また何らかの障害は予測されるか。
買収についてはPixar株主の承認に加え規制当局の承認も必要である。しかし、買収反対を示唆する動きは今のところ見られない。両社によれば、今夏にも買収を完了させる予定であると言う。
--DisneyにおけるJobsの役割はどうなる。
Pixarの主要株主であるJobsは、Disneyの最大株主となる。そして、合計14人いるDisneyの取締役の1人となる。
--Disneyの巨大な企業構造の中に入ってしまった後も、Pixarはこれまでのスタイルを維持できるのか。
買収発表後の電話会議では、IgerとJobsの両方とも、「この問題について2社は厳密に話し合い、Pixarのユニークなカルチャーを維持するという点で完全に合意した」と述べている。これが現実にはどうなるのかは、今後を見守るしかない。
--「Cars」はこの買収の影響を受けるのか。
それはないはずだ。「Cars」は、PixarとDisneyが買収前に結んでいた配給契約下で発表される最後の映画となり、引き続き、米国で6月9日封切の予定だ。Igerは電話会議中、「Cars」のプレビューを観たと述べていた。
--この買収により、AppleはiTunes経由でDisney映画を配信できるようになるのか。
これに関しては、買収取引の中では公には触れられていない。取締役かつ最大株主となったJobsが、これを実現しやすくなったことは確かだろう。しかし、Jobsは今後、企業統治に関わるような行為には注意しなければならない。Jobsは2つの会社の株主という責任を負っており、2社が必ずしも同じことに関心を持つとは限らないのだ。
--他のオンラインビデオ企業に与える影響は。他社は、DisneyやABCのコンテンツを配信しにくくなるのか。
Microsoft、ソニー、Googleなどの企業は、今回の買収を喜んでいないだろう。これらの企業はオンラインによる映画配信を狙っており、ライバルであるJobsがDisneyの最大株主かつ取締役となることを快く思っていないはずだ。
ただし、コンテンツ会社の多くは、独占的配給契約というのは避けてきた。Disneyが、Apple以外の企業にオンライン配信を任せないのであれば、Disney、そして、Jobsは株主からの圧力を受けることになるだろう。
--今後どのような映画を両社は製作するのか。
Pixarはこれまで、「Cars」以降の映画について語るのを避けてきた。Jobsは米国時間24日、「Cars」以降の映画についてはDisney幹部と今後話し合うと述べた。これまでのピクサー映画の続編の可能性もある。Jobsは、「オリジナルと同等またはそれ以上に良い」続編という考えをかたくなに守っていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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