ライブドアは1月24日、経営陣の変更(関連記事)に伴う記者会見を開催した。新しく代表取締役に就任した熊谷史人氏や執行役員社長の平松庚三氏らは株主らに謝罪するとともに、ライブドア再生に向けて強い意欲を示した。
熊谷氏はまず、冒頭で「株主や広告主、従業員やその家族などに大きな心配と迷惑をおかけしたことを謝罪したい」と挨拶。その上で、実務を担当する執行役員と、その監視を行う取締役に経営の体制を分けたことを説明して、「新しい体制ではこのようなことが再び起きることのないよう、コンプライアンスを徹底する」とした。
新経営陣は会見でお詫びを繰り返した |
「ルールに外れたとみなされる行為は繰り返さない」(熊谷氏)
執行役員社長として、ライブドアの業務を一手に引き受けることになる平松氏は「23日深夜にこの話を受け、時期が時期だけに私にとっても、ライブドアにとっても大きなチャレンジだと感じた」というが、「新しいチームで失われた信頼を取り戻すよう努力していく」と意気込みを語った。
「これまでは堀江貴文という起業家が、ピッチャーと4番バッターの役割を同時に果たしており、1人の人間に大きな力が集まっていた。結果的に、そこに問題があった」(平松氏)
同日開かれた取締役会では、ライブドアの創業者でもある堀江貴文氏が代表権を失い、社長も降板することが決定している。この点について熊谷氏は「代表、および社長を退任するのは本人の意思によるもの」と説明。ただし、堀江氏との接見は認められなかったため、弁護士を通して意思を確認したとしており、「一部あいまいなところがあり、取締役の辞任に関する意思は確認できなかった」として、堀江氏は現時点でもライブドア取締役の職にある。
新たに代表取締役となった熊谷氏(左)と執行役員社長の平松氏(右) |
一部報道では熊谷氏自身も一連の事件に深くかかわっていたのではないかとされているが、この点については「捜査の協力のため、コメントは差し控える」と繰り返した。一方、平松氏はもともと弥生の代表取締役社長であり、ライブドアの傘下に入ったのは2004年12月であること、そして事件はそれよりも前に起こったことだとして、自身の関与については否定した。
平松氏を社長に選んだ理由については、「経営に関する豊富な経験がある。ライブドアは社会的経験の浅い部分があり、周りの人々の気持ちを理解できない部分があったが、平松氏は周囲ともうまくやれる人物であり適任だ」と熊谷氏は説明した。
証券取引法に違反する行為をしたとされる時期から経営陣の1人として参画していた熊谷氏が代表取締役に就任することには報道陣から批判の声も上がったが、熊谷氏は「取締役のうち、山崎(徳之氏)はプラネックスコミュニケーションズの、羽田(寛氏)はライブドアオートの取締役を務めており、ライブドアに常駐しているのは自分しかいなかった。平松氏を取締役に迎え入れるために株主総会を開いて決議するという方法もあるが、時間がかかる上、東京証券取引所でライブドア株式の取引が午前中できないような状態では、株主の総意を確認することは難しい」と釈明した。
今回の事件を受け、すでに一部の広告主が出稿を止めるなどの影響が出ているという。また、従業員についても「社内に動揺はあり、辞める人も一部いる」(熊谷氏)とのことだ。今後の具体的な戦略については明らかにされなかったが、平松氏は「コンプライアンスとガバナンスに準拠し、ルールの中での成長に主眼を置く」と話し、一部事業の売却などについても否定しなかった。
また、熊谷氏は、今回逮捕された堀江氏ら4名が保釈後にライブドアの経営陣として戻ってくる可能性について「迎え入れる予定はない」と明言した。
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