Time Warnerの株主で億万長者のCarl Icahnは米国時間19日、同社の取締役会に対し「悲惨な結果を招く、目先だけの判断」を下さぬよう警告した。
Time Warner傘下のAmerica Online(AOL)が検索大手のGoogleと独占契約を結ぶことになれば、株主は取締役会に責任を問うことになると、Icahnは警告した。
Wall Street Journalなどの各種メディアは先週、Time WarnerとGoogleが密かに仮契約に至ったことを伝えた。その内容は、Googleが10億ドルを投じてAOLの5%の株式を購入するというものだが、この評価ではAOLの時価総額は200億ドルになる。
Googleは、Microsoftを押し切る形でAOLと提携することになるが、このニュースを受けて16日に430ドル15セントでひけたGoogleの株価は、19日には446ドル21セントまで上昇した。事情に詳しい匿名希望の人物によると、Microsoftは何カ月も前からAOLの検索ビジネス獲得を目指してTime Warnerに話を持ちかけており、両社の交渉は契約寸前まで進んでいたが、先週末になって事態が急展開したという。
Time Warnerの株式3%を直接および間接的にコントロールするIcahnは、同社の経営権取得を目指す委任状争奪合戦を繰り広げており、AOLをスピンオフしたい考えを持っている。
IcahnはTime Warnerの取締役会にあてた公開書簡のなかで、「私も株主全員と同意見で、長期的な価値を生み出すTime WarnerおよびAOLの提携には反対ではない。しかし、Googleとの提携は、(InterActiveCorpや)eBay、Yahoo、あるいはMicrosoftなどの企業との合併を含むあらゆる提携を困難にする、もしくは実質的に妨げるものになるかもしれない。もしそうならば、Time Warnerの取締役会が今まさに破滅を招く判断を下そうとしていることになり、私はこれを強く懸念している」と述べている。
同氏は、先ごろGoldman Sachsが公表したレポートを引き合いに出しながら、AOLにとっては徐々にメリットをもたらすeBayやInterActiveCorpとの提携が最良の選択肢であり、一方MicrosoftのMSNやGoogleは最悪の提携相手だと述べている。
「委任状争奪合戦を開始するにあたり、Time Warnerの株主にとってメリットの大きい取引締結の可能性を排除する、あるいはこのような取引の実現を困難にする契約をGoogleと結ぶことは露骨な信認義務違反だと私は考える。Time Warnerの株主にとって本当の意味でリスクとなるのは、Googleとのジョイントベンチャーが事実上近視眼的なものになることだ。価値を最大限に高めながら、AOLに明るい未来を約束する、幅広い選択肢を検討する可能性が一切排除されるかもしれない」(Icahn)
なお、Time Warner、AOL、およびGoogleの関係者にコメントを求めたが回答は得られなかった。
AOLとの契約が締結されれば、Googleは過大なプレミアムを支払わずに最大の顧客をつなぎ止められることになる。
「Googleにとって一番の顧客をつなぎ止められることが最も望ましいのは明らかだ。同社の2005年度の売上のうち、AOLからの売上は約6億ドルで、全体のおよそ10%を占めており、またトラフィック獲得コストを平均80%と仮定した場合、純利益は1億2000万ドル近くになるとわれわれは考えている」とMerrill LynchのLauren Rich Fineは調査レポートのなかで述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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