タワーレコードとNTTドコモは11月7日、ドコモがタワーレコードの第三者割当増資を引き受け、約42%の株式を取得することで合意したと正式に発表した。両社はまず、おサイフケータイを使ったドコモのクレジット決済サービスをタワーレコードの店舗で利用できるようにする。また、携帯電話を使った音楽配信サービスについても検討する。
ドコモはタワーレコードの第三者割当を引き受けるほか、現在タワーレコードの筆頭株主である日興プリンシパル・インベストメンツなどから株式を一部譲り受ける。総取得金額は約128億円で、時期は11月下旬を予定する。
今回の提携を通じて、両社はドコモが2006年にも始める予定のクレジット決済サービスをタワーレコードの店舗で使えるようにする。また、おサイフケータイをかざすとクーポンなどが端末に取り込めるサービス「トルカ」(関連記事)にも対応させる。「タワーレコードを利用する若い世代に、『おサイフケータイを使うとこんなに便利なんだ』ということを目に見える形で伝えていきたい」(NTTドコモ執行役員マルチメディアサービス部長の夏野剛氏)
携帯電話への音楽配信サービスについては、まず携帯電話で楽曲を試聴できるようにする。新譜・アーティストに関する情報も増やしていくという。タワーレコードが米Napsterと共同で10月に設立したナップスタージャパンが提供する予定の定額制音楽配信サービスや1曲ごとの配信への対応については、「ナップスタージャパンがサービスを設計している段階であり、具体的に話せることはない」(夏野氏)とした。ただし夏野氏は「ドコモ自身が音楽配信サービスに参入するつもりはない」とも話しており、音楽情報やCD等の販売も含めてタワーレコードやナップスタージャパンがサービスを提供するとの考えを明かした。
「音楽不況と言われる中、携帯電話は音楽流通インフラとして市場を活性化させる存在になる」と伏谷氏(右)は期待を寄せた
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今回、業務提携ではなく資本提携という形を取ったことについて、夏野氏は「iモードの場合はトラフィックが増えるという、分かりやすい収益構造があった。おサイフケータイの場合、最も収益を上げやすいのは資本提携だ」と話し、タワーレコードを連結対象とすることでドコモに利益が流れる形にしたと説明した。
また、タワーレコード代表取締役社長の伏谷博之氏は「携帯電話は音楽生活インフラとして最も高い可能性を持ち、さまざまなサービス展開が可能になる。タワーレコードが新たな音楽市場を作るうえで、力強いパートナーを得た」と話した。
タワーレコードは1979年に米Tower Recordsの日本法人として設立された。その後、Tower Recordsが業績不振に陥ったことから、2002年には経営陣によるマネジメント・バイアウト(MBO)によってTower Recordsから独立していた。現在は日興プリンシパルが約32%、ドワンゴと伊藤忠商事がそれぞれ10%強の株式を保有しており、Tower Recordsとの資本関係はない。
今回の話は安定株主を求めるタワーレコード側からドコモに持ちかけた模様で、タワーレコードは将来的に株式公開する考えも持っている。ドコモがタワーレコードの株式を保有した後の資本構成は、ドコモが約42%、日興プリンシパルが16.5%、ドワンゴと伊藤忠がそれぞれ8.1%ずつとなる予定だ。
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