ジャストシステムのワープロソフト「一太郎」とグラフィックソフト「花子」に自社の保有する特許を侵害されたとして、松下電器産業がこの2つのソフトの販売差し止めや製品の破棄などを求めた訴訟の控訴審判決で、知的財産高等裁判所は9月30日に原判決を取り消し、ジャストシステムの逆転勝訴を言い渡した。
判決の内容は、(1)原判決を取り消す、(2)被控訴人の請求をいずれも棄却する(3)訴訟費用は第1、2審とも被控訴人の負担とするという3点だ。ジャストシステムは「今回の知的財産高等裁判所の大合議判決は、弊社の主張が認められた公正・妥当なものであると考えている」とコメントを発表した。そして、判決について「ソフトウェアに関連する特許権の行使に対し、一定の歯止めをかけた点で評価できるものと考えている」とし、ユーザーに向けても「今後も問題なく一太郎と花子を利用、購入することができる」とした。
これに対して、松下は「控訴理由に対する当社の反論が認められず、高裁で新たに提出された資料により、特許無効の判断が示されたことは、大変残念に思う」とし、今後の対応については「判決の内容を詳細に検討した上で決定する」とコメントした。さらに「当社は創業以来、知的財産権を尊重する会社であり、第三者の知的財産権を尊重する一方、当社の知的財産権も尊重されるべき、との一貫した方針を堅持している」とも付け加えた。
この控訴審は、2つのソフトにおいてヘルプボタンをマウスでクリックした直後、更にボタン等をクリックすると、そのボタンの機能説明が表示されるという手順が、松下電器産業の所有する特許に抵触するとして、松下電器産業が販売の差し止めを求めたことに端を発する(関連記事)。
2005年2月1日に東京地裁は、松下の請求を認める判決を下し、ジャストシステムは、特許侵害の事実はないとして上級審の判断を仰ぐべく、2月8日に控訴した。その後、ジャストシステムは一太郎や花子などのヘルプモードデザインを変更するプログラムを3月2日から配布するといったこともあったが、控訴審における最終の口頭弁論は7月15日に終了していた。
今回の訴訟の経緯
※大合議案件:原則として裁判は3人の合議体で行うが、短期間で判断しなければならない重大な案件の場合は、5人の合議体である特別部(大合議部)が審理して迅速に進める
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