Triage Wirelessというサンディエゴの企業が、肌に直接貼ることで血圧や心拍数などの体調を示す数値を継続的に監視し、集めた情報を主治医のコンピュータに無線転送するパッチを開発した。同社ではこのパッチを近い将来市販したいと考えている。
Triageの最高経営責任者(CEO)Matthew Banetによると、「AdvancedBPM」というこのシステムには、患者の正確な健康状態を医師に知らせる狙いがあるという。血圧の値が患者の健康状態をそのまま示さないのは有名な話だ。患者は、収縮式のアームバンド装着を余儀なくされ、診察用の薄いガウンを着せられるという不快な状態で血圧を測られる。そして、こうした環境下におけるストレスは、望ましくない結果につながる場合がある。一方、医師側でもデータを断片的にしか得られない。
「診察室で血圧の特性を判断するのはほぼ不可能に近い。そして、そのことがが問題につながる。薬を過度に処方されたらどうなるだろう?(検査中に)血圧が低かったために何かの兆候を見過ごしたらどうなる?」(Banet)
AdvancedBPMシステムがあれば、就寝中も含め、1日のさまざまな時間帯における血圧を長期間にわたって取得でき、医師がより完全な情報を得られるようになる。また同システムが、外来診療の回数削減による医療費高騰の抑制にも役立つことになるだろう。
ハイテク企業各社は最近ヘルスケア分野に傾倒している。IBM、Accenture、Intelなどは、病院の事務処理削減と診断手法改善のためのコンピュータシステムを考案する事業部を開設している。IntelのDigital Health GroupゼネラルマネジャーLouis Burnsによると、世界各国ではGDP(国内総生産)の15%近くが医療費に使われており、状況を変えようとしなければ、この数字が25%に達する可能性もあるという。
パーキンソン病患者や子どもなどの遠隔監視は、新技術開発につながる大きな道の1つとなっている。この場合、何らかの形で高血圧を患う人が米国だけでもおよそ7500万人と、潜在的なユーザー層は膨大な数になる。血圧遠隔監視システムは既に存在するが、これらはリモコン式のアームバンドを使い、15〜30分おきにこのアームバンドが収縮するというものだ。そのため、夜中にこれが動作すると患者が目を覚ましてしまう可能性が高い。
Scripps-Green Hospital(カリフォルニア州ラホーヤ)のJohn Vasconcellos医師は、「(AdvancedBPMシステムの)大きな利点は、継続的にどこでも血圧を監視できるところだ。現状では、対象となる患者は血圧測定用のアームバンドを24時間装着しなくてはならない」と述べている。
(なお、このシステムは、人体に埋め込む可能性を巡って論争を巻き起こしたRFIDタグとは異なる。RFIDチップは、身元情報や病歴などの保管場所にはなるが、個人情報の侵害を懸念する批判的な意見も上がっている)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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