Intelは米国時間1日、Advanced Micro Devices(AMD)が起した最新の独禁法訴訟に関して、AMD側の申し立てを否定するとともに、当分シリコンバレーの話題をさらいそうな断片的な事実を明らかにした。
Intelは、デラウェア州連邦地裁に提出した63ページに及ぶ書類のなかで、同社がPC用マイクロプロセッサ市場を独占し、脅しや特定のキャッシュバックによってコンピュータメーカーとの取引からAMDを締め出している、との申し立てをきっぱりと否定した。AMDは6月にIntelを提訴し、同社が大小のコンピュータメーカーから卸売業者や小売業者を含む38社の企業に対して脅しや威圧的な戦略を行使したと主張した。
しかしIntelは、市場シェアを拡大できたのは研究や製造の分野に継続的に投資したからだと断言した。同社はさらに、PCメーカーに対して行う値引き販売やマーケティングはPCの価格抑制に役立っており、それが消費者の利益につながっていると付け加えた。
Intelによると、同社が市場で優位に立てたのは、AMDが戦略的なミスを繰り返したことも関係しているという。ここ5年間、AMDは生産能力を引き上げるための投資を十分に行わなかったが、Intelはそれを行ったため恩恵を受けていると同社は主張し、AMDはノートPCへの対応をIntelほど積極的に進めなかったため、今の売上を急拡大させるチャンスを逃したとIntelは断定した。
Intelは、AMDのCEO(最高経営責任者)Hector Ruizが先ごろ口にした「これまでにない好調を維持している」との言葉を挙げて、同社を牽制した。一方、AMDの訴状にはIntelの行為によってAMDは「存続の危機」に直面していると書かれていた。
Intelは、反論のなかでその主張に異議を唱えた。
「AMDは、Intelによる価格の引き下げを妨害しながら、自社では価格設定を引き上げられるようにすることを目論んでいる。言葉巧みに主張したり、奇抜な発言を行っても、AMDが自社を価格競争から守ろうとしていることは隠せない」(Intel)
しかし、この書類で最も注目を集めると思われるのは、IntelがPCビジネスの実情を明かす部分と、AMDの信頼を揺るがそうとする部分だ。今回の裁判では、どちらが論点を証明できるのかという問題に加え、訴訟で繰り広げられる水掛け論も重要な意味を持ってきている。
マイクロプロセッサ市場の支配権を巡って長年争ってきたIntelとAMDは、過去にも裁判で争っている。
Intelは最新の独禁法訴訟で反論する際、1992年の判決を引き合いに出してきた。当時の調停担当者は、AMDが1000万ドルの和解金を受け取ることを認めていた。
Intelは1000万ドルを支払ったことを認めたが、支払ったのは当初主張された金額の1%未満だったと付け加えた。この反論には、AMDは「現実に即した対応ができず、自業自得だった」と、当時の調停担当者が記していたことも書かれている。
Intelの広報担当によると、1992年の調停に関する記録はまだ公開されていないとし、Intelがこれを引用したのは、今回の裁判でAMDが1992年の調停に言及したためだという。AMDからコメントを得ることはできなかった。
その後、1995年に両社が和解した際は、AMDが訴状に和解条件を記載しなかったと、Intelは指摘した。AMDは当時、和解金としてIntelに5800万ドルのライセンス料を支払った。合計すると、Intelは和解で1900万ドルの利益を得たことになると、Intelの広報担当は説明している。
またIntelは、ソニーが2003年にAMD製プロセッサの採用を取りやめたことについて、パーツ納入業者の数を減らす同社の取り組みのためであるとし、ソニーにインテル製チップだけを採用することを求めた契約があったとするAMDの主張に反論した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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