「エレクトロニクス事業の製品ラインアップを見直し、利益のでるものに集中していく」--ソニーの代表執行役会長 兼 CEOに6月22日付けで就任したハワード・ストリンガー氏と、同じく代表執行役社長 兼 エレクトロニクスCEOに就任した中鉢良治氏が6月23日、東京都内で就任会見を行い、ソニーブランドの復活に向けてエレクトロニクス事業の選択と集中を進める考えを明らかにした。
具体的には、テレビ、Blu-ray Disk関連、携帯オーディオプレイヤーの3つを重点領域と定める。また、新たな事業領域として、「コミュニケーションとモバイルの融合分野にも大きなビジネスチャンスがあると見ている」(中鉢氏)という。「ソニーが競争優位を持ち、かつ成長領域に資源を集中させる」(ストリンガー氏)
撤退領域については明らかにしていないが、すでに研究開発では複数の分野から撤退を進めているとのことだ。
新会長のストリンガー氏(左)は3月の会見に引き続いて赤いネクタイをしめていた。
「スパイダーマンの成功にあやかって意識的に選んできた」という |
ソニーがエレクトロニクス事業を絞り込む背景には、事業の競争環境の変化がある。製品の価格下落が進んでいることに加え、家電のデジタル化に伴ってMicrosoftやAppleといった新たな競争相手と戦うことを強いられるようになっているからだ。
中鉢氏は「家電のIT化が進み、ソニーはITコミュニケーションの分野に移行する必要性に迫られている」と分析。自社が強みを持つ領域に事業を絞り込むことで競争力を高める必要があるとの認識を示した。
事業環境の変化に素速く対応するため、ソニーではマネジメント層の改革を進めていく。これまで専務、上席常務、常務、業務執行役員と4階層あった役位を廃止して、EVP(エグゼクティブ・バイス・プレジデント)とSVP(シニア・バイス・プレジデント)の2階層にすることを明らかにしているが、ほかにも組織改革を進めていく考えだ。「よりダイナミックに動けるよう、組織をスリム化していく」(ストリンガー氏)
さらに、経営層と現場のコミュニケーションを密にし、集中領域に全社一丸で取り組む考えだ。「現場と経営層の信頼回復が(ソニー復活の)鍵」(中鉢氏)と位置付け、「『Sony Unitedになろう』と全社に呼びかけている」(ストリンガー氏)とした。
ソニーでは、9月末にも新たな経営方針を発表する予定だ。この日は具体的な数値目標は明らかにせず、「今後3カ月かけて、長期的な成長戦略を立てる」(ストリンガー氏)と述べるにとどめている。
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