ドッグレースの世界では長い間、犬が電動のウサギを追いかけてきた。そして今、ラクダレースの世界で、ロボットのレーサーがラクダのサドルに腰をかけている。
誰かが技術力を誇示するためにこの電気仕掛けのジョッキーを開発したわけではない。 これまでカタールやアラブ首長国連邦などのペルシア湾沿岸諸国では、ラクダの手綱を引くのは少年たちの仕事だったが(ときには4歳くらいの幼い子供が乗っていたこともある)、このことに対し、世界中から非難が集まっていた。
そこに現れたのが、スイスのロボティクス企業K-Team。同社は2004年の初め頃から、ラクダレースの研究を始めた。そしてとうとう、同社の開発したレーシングロボットのKamelが、カタールの首都ドーハで行なわれた試走に成功したのである。AP通信社によると、Kamelとラクダのコンビが1.5マイル(約2.4キロメートル)の区間を走行する間にはじき出した最高スピードは、時速25マイル(約40キロメートル)だったという。
このプロジェクトの目標は、2007年までにラクダレースのジョッキーをロボットに置き換えることだ。次の試走は現地時間5月28日に行われる。
重さ60ポンド(27キログラム)のKamelは手綱を握ることは可能だが、その引き方を判断する能力は備えていない。そこで、人間が遠隔地からジョイスティックを使って、手綱の操作を行っている。このロボットには緩衝装置やGPSシステムが搭載されている。またラクダが落ち着いてレースに参加できるように、Kamelのジャージには、調教師が伝統的に身につけている香水がスプレーされているという。
「ラクダがロボットを受け入れるようにすることが開発のポイントだった。できるだけ、外見が人間っぽくなるように工夫した」とK-TeamのAlexandre Colotは述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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