マイクロソフトは1月13日、同社の知的財産戦略についてプレス向け説明会を開催した。そのなかで、マイクロソフト 執行役 法務・政策企画統括本部長 平野高志氏は、知的財産権の補償について述べ、「マイクロソフト製品を使用する顧客が、知的財産権の紛争に巻き込まれないよう補償し、製品について責任を取ることは企業として当然の責任」とした。
同社では昨年11月、エンドユーザー向けに知的財産保護策の拡大を発表し、それまでボリュームライセンス契約を結んだ顧客に対してのみ提供していた保護策を、すべてのエンドユーザーに適用するとした。これは、エンドユーザーが知的財産権関連の問題で訴訟費用や損害賠償の請求を他者から受けないようにすることを目的としたもので、同社では特許、著作権、商標、営業秘密に関して、製品の購入経路に関係なく、同レベルの補償を提供するとしている。万が一補償の範囲の事態が起きたときは、防御のための訴訟費用と、裁判所の決定した損害補償額を、上限なく補償するという。
マイクロソフト 執行役 法務・政策企画統括本部長 平野高志氏 |
平野氏は、各社が知的財産権の補償についてどのような立場をとっているか比較し、「ノベルでは、著作権は補償するが、訴訟費用や損害補償に関しては一定金額のみの補償、特許に関しては補償範囲に入っていない。レッドハットも特許や著作権はカバーしておらず、訴訟費用などを上限を設けて補償するのみだ。ヒューレット・パッカードはSCO関連の著作権と訴訟関連費用のみカバーするとしている。特許、著作権、訴訟費用および損害補償まですべてカバーしているのはマイクロソフトのみだ」と述べた。
また平野氏は、オープンソースソフトウェア(OSS)と商用ソフトウェアの連携についてもコメントした。同氏は、両ソフトウェアをうまく連携させるためには、同一のルールに基づき、他者の知的財産権を尊重する必要があるとし、実効的な相互運用性の実現と、業界横断的な協業関係を構築することが重要だとしている。「商用ソフトウェアとOSSが知的財産によって連携することが必要だ」(平野氏)
ただ、OSSとの連携においては課題があると平野氏。それは、OSSの多くは知的財産権の検討を経ずに開発されており、他の知的財産権との連携を念頭においたプロセスが欠如していることだ。また、Linuxなどで採用されているGNU GPL(General Public License)が、特許に対してライセンス料を支払わずに配布するという方式を取っており、知的財産権との連携をむしろ阻止する考えであるためだ。このような問題はあるものの、平野氏は「これは制度の問題に過ぎないので、お互い知恵を出し合うことで解決に向かうのではないか」としている。
平野氏は、「知的財産の保護は業界および社会にとって重要な問題。マイクロソフトとしても知的財産はビジネスの基盤で、これが技術革新と産業の活性化につながる」と述べた。
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