ワシントン発--米連邦控訴裁判所で米国時間9日、ウェブの歴史上最大の特許裁判で下級裁判所がMicrosoftに下した5億6500万ドルの支払い命令に関し、これを支持すべきか否かを検討する審理が始まった。
連邦巡回控訴裁判所はこの日、約40分をかけて、シカゴでの裁判で地裁判事が取った手続きに関する質問を行った。2003年8月に結審したこの裁判では、陪審員が、カリフォルニア州立大学勝訴の評決を下している。同大学ならびにEolasという会社は、両者が共同で所有する特許が、ウェブブラウザ経由で呼び出されるプラグインとアプレットにも適用されると主張している。
この日の法廷で、Randall Rader判事は、先行技術に関する当該性の有無について、陪審員による判断の機会を認るべきだったと示唆した。先行技術と認められるものが出ていれば、Microsoftに対する訴訟の結果も違ったものになっていた可能性がある。
「問題は、地方裁判所判事が陪審員による先行技術の検討さえ許さなかったことだ」とRader判事。Microsoftには、Violaという初期のウェブブラウザに関する情報を陪審員に示すことも許可されなかった。同ブラウザは、コンピュータプログラマーでアーティストのPei Weiによって開発され、同大学が特許を申請する前年にほかの研究者に向けたデモが行われていた。
S. Jay Plager判事は、陪審員に対して行われたブラウザについての説明が適切なものであったかどうかを疑問した。この説明ではブラウザを「負荷の高い処理」を行うソフトウェアコンポーネントとしていた。「いかに聡明な陪審員に対しても、これが適切な説明になるとは考えにくい」(Plager判事)
一方、Robins, Kaplan, Miller & Ciresiのパートナーで、UCおよびEolasの代理人を務めるMartin Lueckは、Weiが1993年5月に行ったデモは正当な先行技術とは見なされないと述べ、その理由として、このデモがインターネットに未接続のコンピュータ上で行われた点を挙げた。
さらにLueckは、「Weiのプロジェクトは、詳細が一切公開されず、立ち消えになった。コードの開発に大金をつぎ込みながら、それを利用することも公開することもしないのは権利放棄だ」と述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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