米国時間9日に米国控訴裁判所で開かれるウェブ史上最大の特許訴訟に向け、Microsoftとカリフォルニア州立大学(UC)が証言の準備を進めている。
Microsoftは、Eolasによる特許申請前に、「先行技術」と呼ばれる同様の技術が複数デモされていたと主張している。これに対し、同社の主張の重要な部分については、担当裁判官に任命された3人の上訴審担当判事が好意的に聞き入れる可能性がある。
Microsoftの広報担当Jim Deslerは、9日に控訴裁判所で開かれた口頭弁論で、「失礼ながら申し上げるが、連邦地方裁判所は複数の過ちを犯している。われわれれは裁判所に対して、判決を破棄し、差し戻して新たに審理していただけるよう要望した。Microsoftは、Eolasの特許が無効であり、これに対する侵害がないことを、この裁判を通じて一貫して主張してきた。下級裁判所の判断は破棄すべきだと考えている」と述べた。
Eolasに問い合わせたところ、弁護士が対応することになったが、回答は得られなかった。また、UCの広報担当Trey Davisは、「裁判所の判決を楽しみに待ちたい」と語るだけで、それ以上のコメントは差し控えた。
UCと、同校からスピンオフしたEolasは昨年、Microsoftから5億2100万ドルの賠償金を受け取る判決を勝ち取った。シカゴの米国連邦地方裁判所が、MicrosoftのInternet ExplorerブラウザがEolasの特許を侵害しているとの判決を下したからだ。この特許は「プラグイン」--サードパーティーのアプリケーションをブラウザ内で開くための技術--に関するもので、賠償額はその後5億6500万ドルに引き上げられた。
UCとEolasが連邦地方裁判所で勝訴したことは、オンラインコミュニティ全体への警鐘となった。ウェブ開発者らは、MicrosoftがIEに変更を加えた場合、何百万ものウェブサイトでページがきちんと表示されなくなるのではないかという可能性に直面した。また、この裁判が引き金となり、特許の役割やウェブ上での知的財産の概念全体をめぐってソフトウェア業界で長年戦わされてきた論争が一段と激しさを増すことにもなった。
連邦地方裁判所は今年1月に、Microsoftに対する判決を是認した。Microsoftはこれを受け、6月に控訴に踏み切った。
Microsoftはこの裁判で、以下の3つの点を主張している。
同社はまず、連邦地方裁判所が先行技術に関する特定の証拠を陪審員に検討させなかったのは誤りだと主張。この裁判では先行技術の可能性がある複数の技術が議論されているが、Microsoftは陪審員に対して、コンピュータプログラマーでアーチストのPei Weiが開発したViolaという初期のウェブブラウザを先行技術として示そうと試みながら、結局うまくいかなかった。
Microsoftはまた、特許の主張に対する連邦地方裁判所の解釈が不適切だったとも主張する。同社によると、特許審査官がEolasに対して認めたのはスタンドアロンで実行可能なアプリケーション関連のプラグインに関する特許だけで、またIEではそれに依存するプログラムしかプラグインを呼び出せないという。
Microsoftは控訴裁判所に提出した申立書のなかで、「ActiveXコントロールやアプレット、プラグインは、間違いなくコンポーネントであり、けっしてスタンドアロンのアプリケーションではない。このため、主張を適切に解釈する場である本法廷は、法律問題として、わが社の製品は特許を侵害していないと判断すべきだ」と述べている。
Microsoftの3つめの主張は、控訴裁判所から歓迎される可能性がある。同社は、連邦地方裁判所が国内特許の侵害に対する賠償金額に海外の売上を含める過ちを犯した、と主張する。
控訴裁判所がMicrosoftの最初の2つの主張に関する下級裁判所の判断を支持することになっても、3つめの主張が通れば、それで損害賠償額を1億〜2億ドルまで減らせると、同社は述べている
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