ボーダフォンは11月16日、2004年度の中間決算を発表した。日本テレコムの売却分などを除いた移動体通信事業の業績は前年同期に比べて減収減益となったほか、ARPU(加入者1人あたりの月間売上高)も同9.9%減となるなど、厳しい内容となった。
移動体通信事業の売上高は前年同期比2.5%減の7368億円、営業利益は同28.5%減の875億円、当期純利益は同27.5%減の506億円となった。ARPUは同9.9%減の6280円となっている。
売上高のうち、電気通信事業収入は前年同期比4.9%減の5849億円となった。総加入台数は同4.0%増の1517万台となったものの、高ARPU顧客の解約や料金の値下げ、ARPUの低いプリペイド端末の利用者が伸びたことなどから売上が減少している。同社によると、全加入者の約11%がプリペイド端末を利用しているという。
さらに第3世代携帯電話(3G)への投資や顧客獲得・維持費用がかさんだことが、減益要因となった。新規顧客獲得費用は前年同期比12.5%増の3万6000円、3Gを中心とした設備投資額は1018億円となっている。
ボーダフォン代表執行役社長兼CEOのブライアン・クラーク氏 |
ボーダフォンは現在、人員整理などの事業改革を進めている。ボーダフォン代表執行役社長兼CEOのブライアン・クラーク氏は、「我々がプロジェクトMOVEと呼ぶ事業改革アクションプランの進捗は良好だ」と話す。
7月に行った希望退職制度の導入で51億円の一時費用が発生したが、これによって今後年間36億円の費用削減が可能になるという。8月には新しいサプライチェーンマネジメントシステム(SCM)が完成し、9つの地域会社を1社に統合したことで物流倉庫などが1つのシステムに統合され、在庫管理などがスムーズに行われるとした。
下半期は9月に発表した新3G端末を積極的に展開する方針で、通期の見通しは変更していない。売上高が1兆5310億円、経常利益が1270億円、当期純利益が1100億円と予測する。プリペイド端末は犯罪に利用される危険性が高いという指摘があるが、身元確認を徹底することでこれを回避するとしている。
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