次世代の超高層ビルは、土の中に住み、菌類を利用して食物を分解する生物にヒントを得たものになるかもしれない。
ラフバラ大学(英ケンブリッジ)とニューヨーク州立大学のエンジニアや昆虫学者らがチームを組み、アフリカのサハラ砂漠以南に生息するマクロテルメス種のキノコシロアリの建築テクニックを、今後最長で3年にわたって研究することになった。
このシロアリはトンネルと、内部の温度や湿度や空気の質を調節できる空調設備が複雑に入り組んだ、蟻塚を構築する。
研究者らによると、この蟻塚はかなり高度な構造をしており、ちょうど生物の肺のように風を捉えて塚内の空気の流れを生成するため、シロアリはかなり安定した環境で生息することができるという。
同研究チームでは、この蟻塚の研究を通じて、大規模な建築物で受動的な空調システムを構築したり、エネルギー消費量の削減や全体の効率の最適化を図るための方法を見つけだしたいと考えている。
多くの技術分野では、自然をお手本として真似るケースが急速に増えている。たとえば資材メーカーでは将来、自己再生する化学反応を通してチップを製造できるようになると考えているが、このお手本は自らの貝殻を生成するアワビだ。
今回の研究のかなりの部分は、蟻塚の3次元画像と3次元スキャンの生成に費やされることになる。この研究はEngineering and Physical Sciences Research Councilから42万1000ポンド(75万5000ドル相当)の助成金を受けて行われる。
多くの多国籍企業と同じく、シロアリもアウトソーシングを大いに活用している。この生き物は樹木の繊維を直接自分で噛まずに、まず少し噛んだ繊維を菌園に与えて、繊維を消化できる食物に分解させる。蟻塚そのものも、菌類に最適な環境となるようにつくられている。
「この研究の成果が、いずれは人間の新たな自給自足の居住環境開発に役立つと期待している。これらの住居は、さまざまな不毛で厳しい環境での利用に向いている可能性がある」と、このプロジェクトのリーダーで、ラフバラ大学機械・製造工学部の講師を務めるRupert Soarは声明のなかで述べている。
なお、David Attenborough爵はナミビアで行なわれるこの研究をフィルムに収め、2006年にドキュメンタリー映画として公開する予定だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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