楽天は9月24日、プロ野球に新規参入するため、日本プロフェッショナル野球組織(NPB)に加盟申請を行った。合わせて新会社「楽天野球団(仮称)」を10月中旬に設立することを明らかにした。
新会社は資本金4億円で、楽天が全額を出資する。代表取締役社長には楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏が就任する。所在地は宮城県仙台市を予定している。野球の興業のほか、ホテルや飲食店等の経営、広告の企画・制作、出版、肖像権等の管理運用、旅行業など、野球に絡んだ様々な事業を展開する方針だ。
楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏 |
球団を所有する狙いについて三木谷氏は、「楽天は若者を中心としたインターネットユーザーの認知度は高い。しかし今後テレビがインターネットに接続し、また携帯電話が進化する中では、ノンPCユーザーへの認知度向上が重要になる」と話し、現在リーチできていない顧客層への広告宣伝効果を挙げる。
さらに「野球自体がコンテンツとして魅力的」(同氏)として、同社の事業とのシナジー効果が見込めるという理由もあるという。楽天は動画配信を行うショウタイムを有線ブロードネットワークスと共同で運営しており、試合の動画配信を行う予定。また、楽天市場での関連グッズ販売、楽天チケットを通じたチケットのオンライン販売やアフィリエイトの導入、携帯電話によるリアルタイムでの情報配信などを行う計画だとしている。
球団はパシフィック野球連盟への所属を希望しており、県営宮城球場を本拠地とする予定。仙台を選んだ理由については、「政令指定都市でありながらプロ野球球団がなく、マーケットとして魅力的」と三木谷氏は説明する。ただし、宮城球場をプロ野球の一軍が利用するためには改修が必要となるため、楽天では「10億〜35億円の改修費用を見込んでいる」(同氏)という。
楽天では1年前よりプロ野球への参入を検討しており、近鉄バッファローズの買収を大阪府などを通じて打診していたという。球団の経営に関しては、三木谷氏が経営するクリムゾングループのサッカーチーム「ヴィッセル神戸」と同様に地域密着型で運営していく方針で、「4年目に黒字化できればいい。インターネットや携帯電話を活用することで、採算は取れるだろう」と三木谷氏は話す。
経営の透明性を確保するため、経営諮問委員会を設立するという。メンバーとしてはウシオ電機代表取締役会長の牛尾治朗氏、有線ブロードネットワークス代表取締役社長の宇野康秀氏、トヨタ自動車取締役会長の奥田碩氏、みずほコーポレート銀行取締役頭取の齋藤宏氏、大和證券グループ本社取締役代表執行役社長の鈴木茂晴氏、三井住友銀行頭取の西川善文氏など12名がすでに内定しており、今後は宮城県など地元の経済人にも就任を依頼する予定という。
楽天では新規参入の条件として、セリーグ・パリーグ間での交流試合が行われることを挙げている。「巨人戦の放映権料が欲しいという気持ちも正直あるが、それ以上に6球団だけの試合では飽きやすい。バリエーションを広げることで、野球のビジネスモデルも変わってくるだろう」(三木谷氏)としている。
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