IT企業各社から第2四半期の業績予測が出揃いはじめているが、多くのエンタープライズソフトウェアベンダーではこれまで予想していたよりも厳しい状況にある。
これまでに十数社のIT企業で売上と利益が予想値を下回っており、なかでもハイエンドのアプリケーションを販売する各社は最も大きな影響を受けている。各社の収益減少には、売上げの伸び悩み、不完全な製品計画、あまりにも楽観的な期待など、無数の要因がある。
First Callの調査アナリスト、John Buttersは、下方修正を報告してきたVeritas、WebMethods、PeopleSoftなどの企業を指しながら、「(業績予想を下方修正した)企業の数が増えつつある。先週だけでも23社から下方修正予想が出ている」と語った。米国時間7日には、Siebel Systems、Filenet、BMC Softwareなど、さらに多くの企業がこのなかに加わった。
今回の決算期では、今のところ341社のITベンダーが業績予測を出している。これらのうち、利益が予想を上回りそうなのは112社、ウォールストリートの予測通りになりそうなのが55社、そして174社は予想を下回ると警告している。
こうした予想を下回る結果が発表されたことで、ソフトウェアベンダー各社の市場価値は、今週だけでもあわせて数十億ドルも値下がりしてしまった。とくに、Veritasの値下がり 幅は40億ドルと大きい。一方、ハードウェアメーカー各社が困難な局面をどうやら乗り切ったようだというのは明るい話題だ。
IT系の企業すべてが不況なわけではない。Yahooは7日、株価が時間外取引で下落したものの、予想通りの売上と利益を発表した。しかし、もっと重要なのは、悪いニュースがエンタープライズソフトウェア企業に集中したことで、一部のアナリストが同業界の低迷が予想より長引くことを懸念している。
Bernsteinのアナリスト、Charles Di Bonaは、「ITやソフトウェア関連の予算が増加しないことを皆が懸念している。大統領選挙やイラクの主権委譲が要因だとする意見も一部にはあるが、私はそうは思わない。イラクへの主権委譲時にはある程度の衝突がありそうだというのは誰もが予想していたことで、また大統領選挙は4年に1度必ず行われるもので、突然行われるわけではない」と語った。
Imex Researchのアナリスト、Anil Vasudevaはこれを受け、「ここ2カ月ほど売上が少し下降気味だった」と付け加えている。
今回、悪いニュースがいくつも発表されはしたが、それが単なる季節的な変動のせいか、あるいはもっと深刻な問題の前触れなのかはまだ判断がつかない。過去にも、たとえば1998年前半には、一時解雇や売上の鈍化を受けて景気後退を予想するものも一部にいたが、ITブームはその後さらに2年以上も続いた、という例がある。また2000年には、Intel、Gateway、Appleなどのメーカー各社が立て続けに下方修正を行うまでは、PCの売上が鈍化しているのではという懸念をまじめに受け取らないアナリストが多かった。
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