Microsoftは、ブラウザのプラグインに関する特許を侵害したとして、同社に5億6500万ドルの支払いを命じた判決の破棄を求める趣意書を、米控訴裁に提出した。
174ページに及ぶこの書類は、米国時間6月3日に提出されたもので、カリフォルニア州立大学とEolasという企業が保有する特許を、Microsoftが侵害したとする米地裁の判決に攻撃を加えている。同特許は、ウェブブラウザがプラグインアプリケーションを動かす手法に関するもの。
2003年8月に下された判決では、特許の成立した1998年11月17日から2001年9月30日までの期間に出回った3億5400万ものWindows OSについて、カリフォルニア州立大学とEolasが1本につき1ドル47セントを得ることを認めていた。さらに今年1月、同裁判所は判決までの期間の利息分として4530万ドルを追加したため、すでに言い渡された5億2100万ドルと合わせて、総額は5億6500万ドル以上となった。
このEolas問題で、インターネット業界全体に激震が走り、それまでMicrosoftと敵対していた企業や団体までが同社の援護に回ることとなった。ウェブ開発者や業界標準の推進者らは、もし同地裁がこの判決を支持すれば、Microsoftはウェブブラウザの仕様を変更することになり、その結果何百万ものウェブページがきちんと表示されなくなってしまう事態を恐れている。
Microsoftによる訴えとは別に、米特許商標庁(USPTO)でも現在、同特許に関する再調査を進めている。USPTOは、2月に発表した予備事実認定のなかで、この特許が不正に認められたものであるとする、標準化団体のW3C(World Wide Web Consortium)やその他の人々の主張に同意していた。Eolasらがこの特許の対象となる技術を開発する前に、Dave Raggettというソフトウェア開発者がよく似た発明を行っていた、というのが彼らの主張だ。
カリフォルニア州立大学とEolasは、3週間前にこの見解に異議を唱えていた。
Microsoftやその支持者にとっての最良のシナリオは、USPTOが同特許を無効にすることだが、それでも再審査は何年も長引く可能性がある。
再審査の長期化を避けるために、Microsoftは米控訴裁に法的な戦いを持ち込んだ。同社は、地裁がViolaブラウザに関する証拠を限定しているのは誤りだと述べている。Violaは、(当時カリフォルニア州立大学バークレー校の学生だった)ソフトウェア開発者兼アーティストのPei Weiが開発したウェブブラウザで、同社が裁判の中で先行技術にあたると主張しているものだ。
なお、Microsoftは今回の趣意書のなかでは、USPTOが先行技術調査のベースとしているRaggettのソフトウェアには触れていない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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