ソフトバンクは27日、リップルウッド・ホールディングス傘下の固定通信事業者である日本テレコムを買収すると発表した。買収価格は約3400億円。ソフトバンクが日本テレコムの株式100%を1433億円で買い取り、純有利子負債1640億円(6月4日見込み)、優先株325億円を引き継ぐ。株式取得日は2004年11月16日を予定している。
ソフトバンクはこれまで、同社子会社で通信事業会社のソフトバンクBBを通じて、主に個人向けADSLサービスやIP電話サービスを提供していた。今回の買収により、ソフトバンクは同グループにとって初となる固定通信事業を手がけるとともに、法人向けビジネスの拡張を図る。
左から、リップルウッド・ホールディングスCEOのティモシー・コリンズ氏、ソフトバンク社長の孫正義氏、日本テレコム社長の倉重英樹氏 |
ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏は、「個人向けのサービスは個人が納得すれば導入に結びつくが、法人向けのサービスは、取引先の問題や社内での調整など難しい場合が多い。ソフトバンクでは、法人向けサービスを行うためのテクノロジーは十分にそろっていたが、実績と顧客が欠けていた。法人事業で日本テレコムの実績とブランドを生かしていきたい」と述べる。
ソフトバンクは、日本テレコムを買収することで日本テレコムの保有する約1万2000kmにもおよぶ光ネットワークインフラも手に入れることになる。これをソフトバンクグループのIPネットワークと統合することで、ネットワークの強化や効率化をねらう。
買収後の日本テレコムは、ソフトバンクの100%子会社となり、位置づけとしてはソフトバンクBBと同じ。日本テレコムの現取締役代表執行役社長 倉重英樹氏をはじめ、経営陣や同社の体制はそのまま継続するという。日本テレコムの買収で、ソフトバンクグループとしての連結売上高は1兆円規模となり、「連結収益力も大幅に強化される」と孫氏。マージンの高い法人売り上げの増加が見込めるため、個人・法人向けの売上高の比率はおよそ50%ずつとなる見込みだ。
両社の個人、法人向けの音声およびデータサービスの回線数の合計は、若干重複部分はあるものの、約1000万となる。将来的に両社で重複する一部のサービスやブランドが統合される可能性はあるものの、「当面はソフトバンクの個人市場の強みと日本テレコムの法人市場での強みを生かしつつ事業を進める」(孫氏)としている。
日本テレコム社長の倉重氏は、「日本テレコムは携帯電話事業を持っていないため、ブロードバンド事業を拡大することが賢明だと考えた。そのためどこかと組みたかったが、日本でもトップクラスのブロードバンド企業で、常に革新的なサービスを提供し続けるソフトバンクとまさにビジョンが一致した」と、買収の経緯について説明し、「両社のシナジーを働かせ、社会貢献できる企業となりたい」と抱負を述べた。
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