調査会社Forrester Researchは以前、2015年までに300万人分以上の仕事が米国から海外へ流出するとする調査レポートを発表して論議を呼んだが、同社は最新のレポートでこの主張を擁護し、さらに近い将来脅かされる可能性のある仕事の推定値を引き上げた。
米国時間5月17日に発表されたこの調査レポートで、同社は今後11年間に340万人分の仕事が海外へ移ると予測している。これは、2年前の最初の調査で予想された330万件という数とほぼ同じといえる。同社が2002年に発表した調査はマスコミなどで広く取り上げられた結果、海外アウトソーシングをめぐる政治的な論争を巻き起こす要因のひとつとなった。
Forresterはまた、最新のレポートで失業者の短期的予測を24万人に引き上げ、2005年までに合わせて83万人分の仕事が海外へ流れるとの見通しを明らかにした。この調査は、John Kerry上院議員がほぼ正式な民主党代表大統領候補になる前に、コールセンター業界を規制する立法措置を導入する際に引用した、当初のForresterの調査結果を補強するものとなった。
最新の調査のなかでForresterは、皮肉なことに、海外アウトソーシングに対する抗議活動やその他の注目が集まったことで、企業各社はこの流れを余計に意識するようになり、結果としてそれが仕事の海外流出を加速することにつながったと述べている。
「メディアによる報道で、海外アウトソーシングの台頭は政治的な第3の争点となったが、同時にそれが海外アウトソーシングへの取り組み全体の増加を促した」と同調査レポートの執筆者、John McCarthyは記している。
McCarthyはまた、そのような世間の関心は、当初のForresterのレポートの調査結果を歪曲させたとも述べている。4月のWall Street Journal紙のインタビューで、McCarthyは「根拠のある推測」程度のものだと自ら認めている長期予測が大げさに取り扱われたことに当惑したと述べている
「いますぐにでも330万人分の仕事がなくなるといった調子で、皆がこの数字を引用した」とMcMarthyは、新しい調査レポートに関する質問に答えたなかでそう記している。
同調査の数字は劇的に聞こえるかもしれないが、Forresterはこの数字について、調査の対象となった「マネジメント」「コンピュータ」「法律関連」などを含む全カテゴリの雇用数の7%以下に過ぎないとの注意書きを添えている。さらに、同社が発表した別の調査では、4月に北米企業139社を対象に調査を行った結果、58%の企業がオフショアのITサービスプロバイダを利用していない――あるいは利用する計画がないと回答していたという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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