IPアドレスの管理を行う日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)は、IPアドレスの割り振り等に関する料金体系を変更する。ただし2月に発表した新料金案は見直し、非会員からの特別維持料制度は撤回する。修正案を6月の総会で審議にかけた後、8月から施行する予定だ。
JPNICのIPレジストリ業務の運営費は現在、IPアドレス管理指定事業者(IP指定事業者、ISPなどがこれにあたる)から受け取るIPアドレスの維持料と割当手数料でまかなわれている。維持料はIP指定事業者当たり年間10万5000円からで、割当手数料は1件につき4725円(いずれも税込み)。
JPNIC IPアドレス担当理事 兼 IP事業部長の前村昌紀氏 |
この料金体系を変更するのは、現在のいびつな収入構造を改め、安定化させるためだ。JPNICの当初の予測では、収入の7割を維持料、3割を割当手数料が占めるはずだった。しかし2003年度の収入を見ると、3分の2を割当手数料に依存している。JPNIC IPアドレス担当理事 兼 IP事業部長の前村昌紀氏は「予想以上にIPアドレスの新規割当件数が多かった」と説明する。
これに対し、割当業務が支出に占める割合は全体の1割程度に過ぎない。また割当手数料は新規申請時のみの一時収入であり、今後の運営を見通す際の不確定要因になる。こういった理由からJPNICは料金体系を見直し、継続的に収入が得られる維持料の割合を増やす方針を掲げた。
2月案には会員からの反対が相次ぐ
2月案で提案された変更点は、
---の4つ。この中で問題となったのが3と4の部分だ。
JPNIC IP事業部 IPアドレス課 課長代理の佐藤晋氏 |
2月案では割り振りIPアドレスの総量が多い大手事業者の負担は軽くなるが、逆に少ない事業者は負担が増える。例えば/11以下の事業者は現行の378万円から273万円に減るが、/20以下の事業者が支払う料金は10万5000円から21万円へと倍増する。この急激な変更に対してIP指定事業者から反発があった。さらに非会員からの特別維持料やJPNICの会費で不足分を補うという方法も不評だった。4月案ではこうした意見を踏まえて特別維持料などを取りやめ、代わりに大手事業者の維持料引き下げを見送った。
4月案では、/15以下までの事業者の維持料は現行のまま据え置く。ただし/16以下より小さい事業者については、「規模にかかわらず最低限かかる支出は負担してもらいたい」(JPNIC IP事業部 IPアドレス課 課長代理の佐藤晋氏)として、維持料の値上げに踏み切る方針だ。また、/10超の事業者も維持料が378万円から420万円へと値上げされる。
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背景にあるのは“ライバル”APNICへの危機意識
JPNICが料金変更にこだわる理由はもう1つある。それは、海外のRIRと比較した場合の維持料の高さだ。国内の事業者はJPNICだけでなく、APNICからも割り振りを受けることができる。APNICはアジア太平洋地域を統括するRIRで、JPNICもAPNICから割り振りを受けている。
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