1986年、マイクロソフトの日本法人を設立した古川享氏。同社の初代代表取締役を務め、その後代表取締役会長を経て米Microsoftにその活動拠点を移していた同氏が日本に戻ってきた。今年2月からマイクロソフトの最高技術責任者として日本に軸足を戻した古川氏の役割は何なのか。マイクロソフトの主力製品が発表される時のように大勢の記者が集まった中、古川氏は22日に開催されたプレス向け説明会にて自身の役割を語った。
なかでも社員の可能性を広げることに関して同氏は、「企業を代表するような人間の顔が見えなくなった。だからといって自分がまた目立とうということで日本に戻ったのではなく、顔を見せるにふさわしい人材を作り出していくようにしたい」と、自らの立場を明確にした。
古川氏の率いる技術企画室では、他業界やパートナーなどとの連携を実際に進めるとともに、マイクロソフトが2002年より推進しているTrustworthy Computingの浸透度を深めること、イノベーションを推進すること、Seamless Computingビジョンの普及などに注力するという。
イノベーションについて古川氏は、「自社の知的財産だけでなく、クロスライセンスなど他社の知的財産をどううまく活用できるかを探る。また、相互運用性についても考えていきたい。ここでいう相互運用性とは、データや機械の互換性のみを指すのではなく、誰もが簡単に使えるものを提供したり、業界と業界の間に存在する壁を取り除くといったようなことまで含める」と語る。
また、古川氏が普及を目指すとしているSeamless Computingとは、複雑なコンピューティング作業なしにユーザーがデバイスを操作できる状況を作り出すこと。「さまざまなデバイスがコンピュータにつながっているが、その接続方法やプロトコルなどの詳細を知っている人は少ない。エンドユーザーは、そこで使われている技術が何であるのかを知る必要はないからだ。今後ユビキタス時代が到来するにつれ、あらゆる場所にコンピュータが使われるようになるが、自然にコンピュータとデバイスがつながる状況を提供するのが我々の務めだ。今後ユーザー側のセットアップや操作をさらに簡素化し、複雑なコンピューティングの内部は知らなくてもいい環境を目指す」と古川氏は説明した。
古川氏が海外に活動拠点を移して以来、「もう私がマイクロソフトを退社したと思った人もいる」と同氏は言うが、古川氏の存在感はまだ大きい。「あと10年まだまだ暴れる」と語る古川氏が、今後日本でどういった活動を行うのか楽しみだ。
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