Sun MicrosystemsとMicrosoftが4月2日(米国時間)に全面和解に合意した。SunのCEO、Scott McNealyも、よもや自分が最大の宿敵Microsoftと協力関係を結ぶことになろうとは予想もしなかっただろう。
歯に衣着せぬ発言で知られるMcNealyは15年間のうちの大半をMicrosoftとの戦いに費やしてきた。戦いの舞台は市場だけでなく法廷にも及んだ。両社の争いは、MicrosoftによるJavaソフトウェアの扱い方をめぐり、Sunが同社に対し10億ドルの損害賠償を求めた2002年の反トラスト訴訟で頂点に達した。
McNealyとMicrosoft CEOのSteve Ballmerによる握手で結ばれた今回の提携は、両社を長年見守ってきた人々にとって、とても想像できなかったことだろう。
実は、McNealyとBallmerにはたくさんの共通点がある。共にデトロイト育ちで、父親が自動車業界で働いていた。また、二人とも現状打破を目指した意気盛んな新興企業のリーダーとしてIT業界で頭角を現した。Sunは高性能ワークステーション市場を開拓し、一方Microsoftは、ミニコンピュータからパソコンへの移行において先導的役割を果たした。
しかし、1990年代初頭にSunがMicrosoftに対してWindowsのインターフェースを公開するよう求めたのをきっかけに、両社は互いに最も憎み合うライバルとして対立してきた。McNealy率いるSunはUnixベースの高性能コンピュータと企業向けアプリケーション開発用のJavaソフトウェアを販売してきた。一方、BallmerはMicrosoftの共同設立者Bill Gatesとともに、WindowsやOfficeといった、数がたくさんさばける安価なソフトウェアや.Netプログラミングフレームワークで構築したソフトウェアの販売によって、およそ600億ドルという巨万の富を手にした。
最近では両社は、デスクトップ用アプリケーションソフトウェア市場で争っていた。同市場ではMicrosoftのOfficeが90%以上のシェアを握っているが、SunはStarOfficeやOpenOfficeといったソフトウェアバンドル製品で政府や学校関係に足掛かりを築こうとしてきた。
売り言葉McNealyはことあるごとにMicrosoftを非難し、両社の争いは宗教戦争の様相を呈した。SunのMicrosoftに対する激しい批判はライバル企業を奮い立たせると共に、Microsoftに対する数件の独占禁止法違反容疑の調査が始まるきっかけとなった。その中には現在も継続中の欧州委員会による調査も含まれる。McNealyにとって、Microsoftはまさに「悪の帝国」あるいは「ダークサイド」であった。2002年にMcNealyは記者会見で、「人から『なぜまだ引退しないのか』と尋ねられるが、そんな時は『Control−Alt−Delete(Windows搭載パソコンの再起動の際に使用するキーの組み合わせ)の世界に子供たちを残しては行けないからさ』と答えるんだ」と語っていたほどだ。
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