連邦地方裁判所が判決を言い渡して以来、米国特許の侵害に対する賠償金に海外での売上を加算するこの問題に、各裁判所からの大きな注目が集まっている。大方の見方は、先ごろ下された判決と、上訴審を担当する3人の判事の実績がMicrosoftの見解に追い風になるとの点で一致している。
Foley & Lardnerの弁護士で、ジョージワシントン大学ロースクール助教授のHal Wegnerは、先ごろ公表した「Patent Infringement Extraterritoriality(特許権侵害の治外法権)」というメモのなかで、EolasとUCは「苦しい闘いに直面している」と書いている。同氏はさらに、「Microsoft関係者は、審判団が都合の良い人選になって笑いが止まらないはずだ」とも記している。
Microsoftの弁護士を喜ばせた前例としては、Pellegrini対Analog Devicesの裁判がある。控訴裁判所は7月に下した判決のなかで、海外で流通する米国製品を国内特許の対象とするためには、問題となる製品の部品が米国内に物理的に存在し、そこから海外に出荷される必要がある、との判断を示している。
Wegnerによると、MicrosoftによるWindowsやInternet Explorerの配布方法に裁判所がこの判例を適用する可能性は低いという。これは、Microsoftがソフトウェアのいわゆるゴールデンマスターを海外事業所に出荷し、それを複製する形で現地での製品製造を行っているためだ。
治外法権に関する2つめの判断としては、NTP Inc.対Research in Motion Ltd.裁判の判決が、連邦巡回裁判所からいつでも言い渡される状況まで来ている。
Microsoftの上訴審に向けて選出された3人の裁判官のうち、裁判長となるRandall RaderはGeorge Bush元大統領の指名で連邦裁判事になった人物だ。同判事はPellegrini裁判に携わっただけでなく、同裁判で発動された治外法権法の草案作成時に、米国上院で憲法調査会や特許・商標・著作権調査会の顧問を務めた経歴を持つ。
さらに、S. Jay Plagerというもう1人の判事は、Rader判事とともに米国特許の適用範囲を制限する判断を下している。また3人目のDaniel Friedman判事も、特許裁判を巡って厳しい判決を下している。
Microsoftは、たとえすべての主張が控訴裁判所に却下されたとしても、次のいずれかの方法によってUC-Eolas裁判をやり過ごせるだろう。
1つめは、米最高裁への上訴だが、これは難易度が高い。
2番目の回避策は、米国特許商標庁長官が13カ月前に開始した特許の再審査を待つというものだ。
この手続きのなかでは、特許商標庁が潜在的先行技術に関する別の例の有効性を認め、Microsoftが既に2勝を上げている。ただし、今回の再審査ではEolasとUCにもう一度主張の場が与えられ、不利な判断に対して抗議することができる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する